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ZEROのつかいま八 王宮陰謀劇Ⅱ
八 王宮陰謀劇Ⅱ
七 アンリエッタ へ飛ぶ「くぅぅっ……!」
才人は息をかみ殺したまま、イッた。どくっ、どくっ、と体液がアンリエッタの奥深くにそそがれ、注ぎ口からたらたらとこぼれるぐらいの量を出したあと、ぐったりと身を投げた。
「いるのか? 返事をしろ!」
二人は固まったまま動けなかった。
誰か、男が侵入していた。それも一人二人ではない。鎧や槍をがちゃつかせながら階段を降りる人の足音と声がどんどん増えていく。
「この聖戦時に……」
「どこの馬鹿貴族だ?」
「なんだ今の声」
「女だったぞ。ヤってんのか?」
「サボって逢引とはいい度胸だな!」
「どこの部隊だ? 名を言え!」
「おい、二人とも出てこい!」
――どうする?
目で聞いた才人に、彼女はいちはやく反応した。
「変化の秘薬です」
小瓶を服のポケットから取り出すと、すばやく飲み下した。たちまち髪が伸び、からだがまるまると太って、別人になる。
これでアンリエッタだとバレる心配はなくなった。
目で合図するアンリエッタにうなずき返して、才人は手早く服を調える。
「はいはい、ここですよ」
牢をくぐると、兵士やメイジが八人ばかり、二人を取り囲んだ。
「お前は女王陛下の!」
「こんなところでサボりとは何たる怠慢か!」
才人はむっつりと黙ったまま答えない。
――どうなってるんだ? 人払いがしてあったはずなのに……
余計なことは言わないほうが得策だった。
その時、才人の死角で黒衣のメイジが杖をふるった。魔法が一切使えぬはずの牢で、その一振りは奇跡を起こし、化けたアンリエッタの身を虹色につつむ。
「きゃあっ――!」
みながざわついた。魔法のまぼろしから姿を現したのは、まぎれもなくアンリエッタ女王陛下その人だったからだ。
「陛下――!」
その衣服は情事の痕跡を残してもつれ、太ももには匂いも濃厚に才人の精液がしたたっている。
「どういうことだ!?」
くちぐちに驚きの声をあげている兵士の、隊長らしき人物がアンリエッタにつめよった。
「陛下、ご説明を」
「控えなさい!」
アンリエッタはそれでも気丈に命を下す。
「この場には誰も近づけるなと言ったでしょう! あなた、誰の許しを得てここに居るのですか! 答えなさい!」
「わたくしにございます――女王陛下」
黒衣のメイジがフードを落とす。
桃色のブロンドがさらっと流れた。頭を振って大ぶりの目でにらみつけたのは、アンリエッタの親友。
「ルイズ――!」
ここにいるはずのない、ルイズだった。
九 王宮陰謀劇Ⅲ へ飛ぶ
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