七 アンリエッタ
陛下を塔牢へ入れる前に、まず才人が放り込まれた。毛布をたくさん持たされ、一番隅の、貴族専用の独居房に閉じ込められる。
「……寒……」
石壁はつめたく、じとじとしていた。新しいイ草を入れてくれたらしく、靴にかおりのいい草がたくさんくっついた。それをしゃりしゃりと床でこすって落としながら、才人はベッドにはいあがる。
歩きながら他の牢ものぞいたが、誰もいなかった。聖戦の発動で、強制的に戦地へ借り出されているとの話だった。
毛布にくるまっていると、だんだんぬくもってきて、眠気がこみあげた。
少し眠ってしまったようだった。
かたん……
こつ、こつ、こつ、こつ……
高いヒールを履いた女の足音がする。カンテラを手にした栗色の髪の少女は、才人の独房まで来て、止まった。
あれ、と才人は思う。
「姫さま、アニエスさんは?」
「休んでもらってます。昼中、ずっとわたくしの警護をしてくださっていたんですもの。ですから、二人っきりですわ」
ふふ、と、妖しげな笑みを浮かべて、アンリエッタ。
「危ないじゃないか! ちょっとの間だけでも一人になったらダメだって!」
「あら、それではわたくし、トイレへも行けませんわ」
「いや、それは……」
「大丈夫です。もうこれで四日目ですけれど、毎日かならず七時間ほど剣が止むの。おそらく、敵が眠っているのですわ」
今は安全なんですよ、とアンリエッタはにこりとした。
「勝負は深夜からです」
「そ、そっか」
独居房には鍵がかけられていなかった。キィ、と押し入り、アンリエッタはフードつきのマントの前をかきあわせる。寒そうなしぐさだった。
「姫さまも、こっち来ます?」
才人は隣をぽんぽん叩き、座るよう促した。毛布がもう一組、ベッドにかかっている。
「そうね。ご一緒いたしますわ」
しゃくしゃくしゃく、と草をふみわけ、才人の前に立った。かと思うと、強引に才人の毛布へもぐりこもうとする。
「ちょ――姫さま」
「才人どの、もう少しつめてくださいまし」
自分が座るスペースを探して才人のひざの間で不安定に中腰になる姿は、飼い主のひざの上に座ろうとする子猫のようだ。わたわたと後ずさりする才人に背中をくっつけて、いっしょの毛布にくるまってしまった。
「こうするとあったかいですわね」
才人はごくりとつばを飲んだ。すぐ鼻先に女王の甘い髪とほそいうなじがある。おもわず抱きしめてあごを肩に乗せると、服のすきまから、胸の谷間と、(下着をつけていないのか)乳首が見えていた。
「お湯をつかってきました」
「いいにおいです。あまずっぱいです」
「そう? うれしい……」
「……」
「あの、才人殿。あれから卿ともずいぶん話し合ったのだけれど……やっぱり卿は……それでわたくしは……」
才人はろくに聞いちゃいなかった。あたたかそうな丸い肉が目の前でゆれている。こいつは指をあっためるのによさそうだ。重そうだから少し下からささえてやらねば。というか剣がいつもここに刺さるの、教皇の趣味じゃね? ほんとは自分のをここに挟んでやるぜっていう遠大なセクハラじゃね? ていうか谷間呪いにかかってね? 解くにはキスとかするんだ絶対そうだ今決めた!
「姫さま! わたくしめは剣の呪いを解く方法を発見いたしました!」
「ほんとうですか?」
「はいぃ! お任せくださいぃ!」
才人は風呂あがりの女王の赤いくちびるにキスをした。寸前、驚きでくっと瞳がひろがったけれども、かまわずむちゅっとやった。
「んっ! んんんんー!」
舌を入れた。くちびるをなぞり、割って、舌先どうしでつついた。そりゃあもうねっとりと。長々と。
ちゅぽんっ、と離れるときには音までした。
「はぁ……はぁ……」
「おっかしいなぁ……姫の呪いはキスで解けるものと相場がきまってんのに……」
「なっ……なっ……」
「やはりこっちか! この女王の胸か! 女王の胸め!」
身体をこちらに向けさせ、その谷間に舌をはわせた。
「やっ……! はぁっ……!」
なんつーえろい声を出すんだこの人は。ますますあやしい。きっとこのあたりに呪いのマークか何かが隠されているに違いない。まるい双丘の中腹を吸いたて、これでもかとなめつくすと、女王が濡れた瞳でこちらの舌づかいをうっとりと見つめていた。
目があった。
アンリエッタは恥ずかしそうに目をそらした。顔に手の甲をおしつけて。無垢な羊を演出するかのように。期待のまなざしをちらちらと送りながら。
裏切れるわけがない。服のすきまから、乳首にも吸い付いた。びく、と身体が反応し、細い喉から抜けるような声が出た。
「やはぁっ……! あんん……!」
かたくとがっていた。舌の先でころころ転がるぐらいの強度で。ぬろぬろと舌ですりながら、したたるほどつばをまぶして、なめまくった。
「才人殿っ……!」
切なげに、アンリエッタ。ずり、ずり、とシーツの上をすべって逃げる上体を押さえつけ、そのまま後ろに押し倒した。
押さえつけた身体は少し冷たかった。凍えのしみた肌を、飢えたように才人の鼻面へ押し付けてくる。毛布で覆ってやりながら、その中にもぐって、才人は手探りで上着をまくりあげた。どこかでひっかかり、ナマの乳に触れた。
「冷ゃっ……」
ほくほくと毛布に暖められた人肌のぬくもりは最高だった。
「あぁ……あったけぇ……」
手のひらをべったりくっつけ、たっぷり中身のつまった肉をつかんだ。やわらかいなんてもんじゃなかった。さわって楽しむおもちゃのように肌はすべらかで、それでいてよくはずんで、気持ちよかった。
才人はもんだ。これでもかというほどもみしだいた。たぷたぷもむもむ、もてあそんだ。
ちかごろ気品が女王になりつつあるアンリエッタだが、胸もまた女王だった。もまずにはいられない誘惑に満ちている。
もんでいるうちにアンリエッタは身体の力を抜いていった。申し訳程度に、ああ、とか、いや、とか、才人の身体を押したり引いたりしていたのだが、今では手を投げてじっとこちらを見つめている。
えろい気分になりつつあるのは間違いなかった。熱い吐息をもらしながら、才人どの、とかなんとかつぶやいている。
首に手をからめられた。
毛布から首を出した。外の空気は新鮮で、冷たい。
真正面にうるんだ瞳がある。この寒さだというのに顔は恥じらいをふくんで真っ赤だった。
「姫さま、前に言ってましたよね! 忠誠には報いるところがなくてはならないとっ!」
「は、はい……」
「なら!」
「で、でも」
「いまがそのときです!」
「いけません、わたくしは」
「女王がなんぼのもんじゃーっ!」
才人は鬨の声とともにスカートをめくりあげた。
「きゃああああ!」
じたばたともがくからだを体重かけて押しつぶし、ほおといわず首といわず、キスをたくさん繰り返す。
「ああ……いけません……そ、そんなところ……」
「お……おう……」
股間にアンリエッタのふとももが当たった。やわらかな内ももが食い込んでえもいわれぬ刺激を与え、すこやかな成長を促進させる。
「いけません、才人殿、あなたはルイズの……」
アンリエッタはもじもじしはじめ、挑発しているかのようにぴったりと才人のせつないところをぐりぐりする。たまらなかった。興奮で脳髄がじんとしびれた。
「そんなこと言って姫さま、苦しそうじゃあありませんか! どこですか! おなかですか! この下着がしめつけるのですかっ!」
「だっ、だめぇぇ!」
「セイブザクイーン! セイブザクイーーィィンンッ!」
手編みのレースがたっぷりとついたけしからんシルクのパンツを強引にひっぺがし、ひみつのヴェールをはがされた肉の合わせ目に顔をちかづけた。
「お……おおお……!」
髪の色とちがってそこだけ黒い毛が生えていた。肉厚の貝のてっぺんにちょこんと血の真珠のようなものが載っている。先ほどのアンリエッタの瞳とおなじに、なめてくれといわんばかりに濡れてひかっていた。
才人はここにも吸いついた。ガイアがそうしろとささやいたからだ。才人内の天使も悪魔も諸手をあげて喝采していた。そこだ! 攻めろ! 落城は近い!
「あっ……ひゃっ……! ああ、そんなところを舐めては……! 聖女にもとりますぅっ……!」
アンリエッタがわめいているが、毛布をかぶっていてよく聞こえない。たぶん『聖女だってもだえちゃうんだもん』、って言ったんだと思う。口ではいけませんいけませんと言っているが、明確にこばんでないのは開かれた膝からも明らかだった。無視してこれでもかとすすると、よろこぶような悲鳴があがった。
舌で熱いひみつの割れ目をなぞり、ぐるぐる周回して、頂上に戻った。ちいさな肉の豆はくっぱりと割れた肉の洞窟からちょこんと顔を出し、興奮してるからか、じゃっかんおおきめにふくらんでいた。
ぬる、と舌をつけただけで身体がふるえた。よっぽど気持ちいいらしかった。ぴちゃ、ぴちゃ、ととがらせた舌ですくってはふるわせてやる。
「ああ……っ! くうぅん……っ!」
女王はすでにぐだぐだだった。身体も蜜がしたたっていたが、それ以上にココロが限界のようだった。なめてつくたび、あられもなく身体をひきつらせ、腰を浮かして押し付けてくる。
見るからに快感に酔っていた。
口を動かすのをやめて、自分のズボンを脱いだ。下半身を蜜壷にぴったりくっつけ、毛布から顔を出す。
「姫さま、突撃許可を!」
「なりません!」
「しかし本陣が! 言うことを聞きません! 突入は時間の問題かと!」
「こらえて! おねがい!」
才人はモノの先端でアンリエッタの入り口をにじった。にじ、にゅじ、と自分の棒に蜜がからまりすべりがよくなって今にも入りそうなのが分かる。理性は決壊寸前だった。
「姫さま気持ちいいってぇ……! ほらこうするとぬるっとして……」
「なり、ませ……はうぅんっ……!」
コスられるうちにキモチよくなってきたのか、女王は禁止の命令もままならない。
「姫さまぁっ……!」
「アンと……おねがい、アンと呼んで……」
「アン……! アン! アン! とっても大好き!」
もはや自分でも何を口走っているのかわからない。
ノリだけで出てきた台詞は、しかし女王の心を捉えたようだった。
「ほんとうに……? わたくしのことを……?」
「好きだ、大好きだー! 身分なんて関係ねーっ!」
口づけられた。申し訳程度の抵抗はなくなり、そこにはにっこりとほほえむ、ただの少女がいた。
「信じましたよ……」
いつくしむような、恥らうような目で見られていた。
「わたくしも、お慕いしておりました……ずっと」
かくて突撃命令はくだされた! 意気揚々と挿入を試みる第一陣!
ごく浅くもぐったところでつっかえた。ぐくう、と、かなりの強度で押し戻され、いきなり射精を煽られる。
「う、お、お……」
「あっ……つぅ……」
逃げるアンリエッタの腰をつかみ、容赦なく押し込んだ。怒涛の急進を見せる第二陣! 肉のとろけるようなうまみが腰からぞくぞくとはいあがる。ぬちぃ! とソーセージを指でつきやぶったような感触がして、急角度で棒までが埋まっていった。
「お……おおう……!」
……ぬ……ぐ……ぐぷぅっ……
パラダイスだった。あつくやわらかなひだがみっちりとからみつき、押しても引いてもなかなか動かない。棒のすこしの動きでねっとりと余韻を残す。
「アン! いい! サイコー!」
アン、アンと呼びかけながら、相手への気遣いも忘れてがむしゃらに腰を振った。
「ひ……きぃ……っ」
アンリエッタは顔をそむけて手で覆った。胸ががらあきになり、ぐっちゅぐっちゅと遠慮ないゆさぶりをかけられてぷるんぷるん揺れていた。
「あぁ……っ!」
手のすきまから唇だけ覗いている。はふはふと苦しげに息をつぐ姿はなんともいえずに色っぽい。
体力に任せて動けたのもそれまでだった。きつくて熱くてしっぽりしていて最高すぎた。
おしりに力を入れたりゆるめたりして、なんとか耐えた。
モノの皮といい全体といい、すっかり襞にからめとられているのが分かる。ぬずるっと奥まで入れた棒にあとから遅れて皮の部分がぬちっと到達する。
甘い電流のようなものがやらかいアンリエッタのナカの狭窄からびりびりとやってくる。人体が電気のパルスで動いているというのなら、これは一番強烈なヤツに違いない。はちみつたっぷりのゼリーと一緒にラップでくるんで端をキャンディみたいにねじっていったらこの感覚に似るだろうか。
……ぬっ! ぬっ! ぬっ! ぬぷぅっ! ……
才人のモノはすでに泥をはねまわる子犬よりも勢いよく秘密の花園を蹂躙している。園丁たるアンリエッタは散る花散る花に背徳的な快感を得ているのか、動いてる、動いてる、と繰り返している。
「あっ、はぁっ、動い、て、るぅっ、すごい、サイトどのがぁっ、わたっ、わたくしにっ、動いて、ああっ」
動けば動くほど気持ちよかった。すでに『出さない』でいるのが難しい。ひざの裏から腰の裏から、甘美な導火線がじりじりと焼き尽くされていく。
「はぁっ、はぁっ、もう、出る」
「はい……っ」
「で、出るよ」
「出してっ、出して、ください、ましっ……」
「で、出るから!」
「はい!」
才人はもがく。がっちりとアンリエッタの足にからめとられて動けない。このままではナカに浴びせてしまいそうだった。
「出ちゃうって!」
「いいんです!」
「いいって、あ、あ、ああ出るもう出る……っ!」
どくっ、と跳ねた。アンリエッタの子宮の入り口まで思い切り突ききって、容赦なく放出する。どくっ、どくっ、とめちゃくちゃにぶっぱなしながら、先端で奥の肉壁をおもいきりえぐった。
視界が真っ白く爆発し、ぞくぞくぞくっ、と震えがきた。爆発が、視覚も聴覚も才人のモノをずっぽりと覆うやわな肉壷の感覚も、すべて射程範囲内に巻き込み、とほうもない誘爆へ発展していく。ドローするすべてのカードが快感快感快感、快美感だった。
「あぁ……」
あえいだのは才人だった。
妙な満足感でいっぱいだった。
才人はぬらつく汗をももでぬぐって、その手でアンリエッタを抱きしめた。腕の中で、彼女がほうっ、とため息をつく。それから抱擁する腕に自分の腕をそっとからませてきた。
仕草が、才人にいとしいと告げていた。
とんでもないことをした、という焦りは後からふつふつと水を吸って膨れる米のように増大していった。
ちゅむ、と、頬にキスを受ける。小鳥のように小首をかしげたアンリエッタが、唇といわず耳といわず、いろんなところにキスの雨を降らせてくれていた。
はむ、と耳を甘がゆく噛まれて、才人は身もだえする。
「ひ、……アン……」
「才人どの……」
熱っぽいまなざしで見つめられ、雨あられのようにキスされて、出したばかりの冷えた頭が急速に熔けていく。
抱擁し、抱擁されながら無我夢中でくちづけを求めてくるほど、彼女は高ぶっていた。才人を見る目にあきらかな欲情の色がにじんでいる。そのためか、彼女は弓のように張りつめていた。
「才人どの、才人どのっ……!」
呼び声におそろしく情感がこもっている。他人とそんな風に触れ合うのは初めてだったのだろう、飢えたようにがむしゃらに才人にしがみついてくる。
「お願いです、もっと、抱いて……」
切羽詰ったように言われて、くらりとこない男がいるだろうか。
力の限り抱きしめた。肩から腰へ、そして臀部に腕をまわして、そっとからだの線をなで、さする。
「あん……っ! くすぐったいです……はぁ……んン……」
――エロい……!
かまわず執拗にくすぐっていると、反応がしだいに色と艶を増し、尋常ではない興奮を示してくねっていった。
「あっ……はぁっ……才人どの……わたくし、なんだか、とても熱い……ドキドキして、とっても甘い気持ち……たまらないの……」
目が茫洋と宙をさまよい、欲に酔っているのを象徴していた。
「そ、そんなエロいことばっかり言ってると、もっかいシますよ!」
脅しのつもりで言ったのだが、彼女はあきらかにプラスの方向で言葉を受け止めたらしく、嬉しそうに才人へキスを求める。
ちゅう、ちゅっ……
彼女の唇が頼りないやわらかさで才人の唇にまとわりつき、とろとろと甘い蜜のように才人を溺れさせていく。
たまらなかった。
腕を回して、後ろから彼女の尻をくぱぁっと割った。
「きゃっ……」
白い粘液がこぽっと空気をはらんで垂れる。てろてろのとろとろになった蜜壷に、指をいきなり突き立てた。
「あ……ッくふぅん……っ!」
ぞくぞくぞくっ、とからだを震わせ、甲高い悲鳴をあげるアンリエッタ。そこはすんなりと指を受け入れ、興奮したように収縮を繰り返す。
わけもわからず指を動かし、出し入れした。
「あっ……! あぁっ……!」
おしりを突き出し、割れ目を押し付けて、アンリエッタが身を震わせる。腰がいやらしい角度でねじれ、ほぐれた穴がほんのりと中をのぞかせる。
くちゅっ、くちゅっ……
ふわとろのお肉のように形を変え、ひくつく襞だった。入れたらどれだけ気持ちいいだろう。アンリエッタが腰を振り、才人を求めて足を伸ばす。
素足のふくらはぎにからめとられて、才人は腰をアンリエッタに寄せた。
とっぷり濡れてぐずぐずの蜜壷にそっと自分を挟ませる。
そのまま腰をおもいっきり擦りつけた。
「はうゥんッ!」
あまい声をあげてアンリエッタが背をのけぞらせる。具がはみでそうなほど強くコスるたびに、ひく、ぴく、と肩がふるえた。
後ろからその肩を抱き、中に入れずに割れ目をにじりつづける。
ぬちゅっ……にちゅっ……
あんまり具合がいいのでそのまま討ち死にそうになった。耐えて、興奮で赤黒くはりつめた自分のモノで、アンリエッタの血の豆をぐりぐりっと蹂躙する。
「あんン! く、ひぃんッ!」
がくん、と女王の上半身が沈んだ。腕が力を失い、腰が断続的にケイレンを起こす。
「あ・あ・あ・あぁッ……♪」
ひときわ甲高いあえぎ声を最後に、女王はぐったりと体を横たえる。
「……ひょっとして、イッちゃった……?」
返事はなかった。
とろーんとにごった瞳でこちらを見返し、はーっ、はーっ、と荒い息をつくだけ。
「えーっと、大丈夫……?」
「……ふえ……?」
あやふやな返事とともに急に手が伸び、才人の棒をむんずとつかむ。泡を食う才人をよそに、彼女はおぼつかない手つきで自分の股間にいざなった。
片方の手で割れ目をパックリひらき、そこに先端を押し付けた。
「もっとォ……」
才人はぬるぬるすべるモノに思考の大半を取られながら、一応『で、でも』と反対を表明する。
「おねがいぃ……」
ふるん、と目の前で太ももが揺れる。ふわふわの肉がついたまばゆい太ももが、合わせ目のところでしとどに濡れた柔肉をたくわえている。そこから血と精液がひとすじ流れていた。
今度こそ、才人は割れ目の中深くに、自分を埋めた。
――ぐ……ぷ……ぷぅっ……
「あぁゥん……ッ! あっ! んんっ!」
バックから貫き、激しく抜き差ししながら、白い尻をつかんで離さないようがっちりと固定する。ぺたん、ぺたん、と才人のふくろが割れ目にはりつき、引く腰につられて遠くなる。
――気持ちよすぎる。
意識はそこに集中しきって、痺れていた。
ほとんど本能のなせるままに、一番気持ちいい場所を求めて挿していく。限界まで棒を飲んだと思われたあそこが、さらにさらにやわらかく溶けて才人を根元まで呑んでいく。
ぐりっ、と子宮の入り口ちかくまでをえぐった。
「あッ……あぁァ……っ! 才人どの、深ァい……!」
狂乱するアンリエッタの逃げる尻を腕の力で押し戻す。ほとんど抜けるまで引いた棒を、ずぶり、と一段奥まで押し込んだ。
「あァッ……♪」
……ぐぷっ! ぬっ・ぬぅっ・ぬぷぅっ……
リズミカルな抜き差しに、脂がたっぷりのったカラダがふるえて悶える。
「ああんっ! いいです、才人どのぉっ!」
達しそうでなかなか出ない感覚に気が狂いそうになりながら、才人は力の限りアンリエッタを犯しつづける。
……ぬっぷ、ぬっぷ、ぬっぷ……
ぱちん、ばちん、と身体同士がぶつかり、音を立て、そのたび、注ぎ口から体液がこまかな泡に攪拌されて垂れ流れる。
……ぬぷっ! ぬぷっ! ぬぷっ! ぬぷっ!
抜き差しにも速度がつき、弾みがつき、ほとんど限界まで体力を行使するぐらい、がつんがつんに腰を振って、振って、振り続けた。
「才人どのっ、才人どのぉっ……!」
「アン、もう我慢できない!」
「いいのです、おねがい、出してぇ!」
「アン、出る、もう出、」
その時だった。
「誰だ!」
八 王宮陰謀劇Ⅱ へ飛ぶ
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