四 キュルケ
三 ルイズ へ飛ぶ 勢いで飛び出してきたものの、昂ぶる欲はどうしようもない。
シエスタのところを訪ねようかとも思った。あの子ならきっと、歓喜に身を震わせて、才人を全部受け入れてくれるだろう。
ルイズがダメだから、シエスタ。
それもなんだか無節操な気がする。
しょぼくれ半分腹立ち半分に、ふらふらとあてもなく寮棟をさまよううちに、通りの角からひょこっと火蜥蜴が顔を覗かせた。
「おまえ――キュルケの」
くるるる、と喉を鳴らして、その蜥蜴は才人の服の裾を引いた。いつかのときのように、自分を案内しようというつもりらしい。
才人はキュルケの、褐色の肌を思った。持ち重りのしそうな、宝石のようにつや光る胸の谷間を思い起こすと、とても逆らえたものじゃなかった。そのままついていくことにする。
キュルケの部屋は甘い匂いがたちこめていた。香水がいくつも混じりあったような香り。
「――お久しぶりね」
「う、うん。顔はよく、合わせるのにね」
「そうね。二人っきりで会えるなんて、いつ以来かしら。ジャンったらちっとも私に靡いてくれないし」
久方ぶりに見るキュルケは、縦のプリーツとたっぷりとしたドレープ使いの、まっさらなブラウスだけを着てベッドの上に半身を起こしていた。天然の巻き毛をかきあげて、ふらふらと起きあがる。
「せ、先生とはうまく行ってないの?」
「ジャンったら、あたしを好きなくせに、頭が固いのよ。あんまりつれないから、私の火花はもう限界。早くガス抜きしないと、この身が焼け落ちちゃうわ」
才人は部屋に一歩踏み込んだところで、オロオロしていた。一発で部屋の妖しい雰囲気に飲まれてしまったのだ。
キュルケはその手をそっと取ってやると、透ける楕円ぎみの薄茶の乳輪を、ことさら才人に見せつけるように二の腕使ってかき合わせ、その谷間に導いた。
「あたしの情熱の火花、受け入れてくれるのかしら」
才人はなんとも答えようがなくて、ぎこちなく笑みを浮かべただけだった。
「……いらっしゃいな。振られ者同士、身を寄せ合いましょ?」
キュルケは才人の腰に手を回すと、ベッドの上に促した。シーツは真新しく皺ひとつなく、キュルケが今日はひとり寝だったことを物語っている。ベッドの頭部とナイトテーブルには、ゴールドのごてごてしいチェーンやネックレスや、その他なんだかよく分からないアクセサリがたくさん散らばっていた。
ベッドの縁に腰掛けさせると、キュルケは才人を後ろから抱きすくめた。豊満な胸に頭ひとつまるごとうずめられてしどろもどろの才人に目を細めて笑うと、手早くベルトを解きにかかった。
真上を向いて自己主張する海綿体を愛しそうににぎって、キュルケはふふ、とまた笑う。優艶な含みのある笑いである。
昨日からあれだけの目にあって一度も放出していない才人は、キュルケに握られて、それだけでたまらなくなった。
「あ、あの、キュルケ、俺あんまり持たないかも」
「みたいね。ほら、もう、先っぽから沢山出ちゃってるもの。透明なのが」
キュルケのやさしく自信に満ちた手つきが才人の亀頭のてっぺん、尿道口をじわじわと刺激していく。
「う、うわっ、待って、ヤバいって」
「いいのよ――このぶんだと、ずいぶん我慢してたのね。かわいそうに」
キュルケはやわらかく全体をグリップすると、慣れた手つきで上下にシェイクし始めた。安定した強烈な刺激に、才人はあっという間に昇りつめていく。裏筋を親指全体で巧みに絞り、枉げた中指で笠の出っ張りをこすこすとやさしく刺激し、竿全体をややきつめの握力でしっかりと掴み、ねっとりと情熱的にコスっているのである。
才人はそれでも耐えた。技巧をツボから外そうと尻の肉を逃がしていると、それもキュルケに感づかれた。
「我慢なんか、しなくてもいいのよ。二度目もすぐに立たせてあげるわ」
ぎゅむ、きゅむ、きゅ、ぎゅむと、キュルケは握る手に変則的な圧力をかけた。それがひき金になって、才人はとうとう頂点に達した。
「う、あ、――だめだ、キュルケ、俺、もうッ!」
「いいの、いいのよ、楽になっちゃっていいの――」
女の子のように何事か呻き、身を震わせながら、才人は大量に吐精した。ぶる、と最後におおきく武者震いをし、どくん、と打ち止めの玉を放つころには、キュルケの指の間から白い澱がつうっとしたたるほどの量になっていた。
「すごい。これだけで妊娠しちゃいそうだこと」
掌に溜めた精液をとろりとぼろきれになすりつけながら、キュルケは呆れたように耳打ちする。
「ごめん、いままでずっと、我慢してたから」
「ふふ、なんとなく分かるわ。どうせ、ルイズがあなたを中途半端にして追い出したんでしょう?」
追い出したのではなく、才人が勝手に怒って出てきたのだが、才人はあいまいに頷いた。
「怒らないでやってちょうだいね。生娘が気まぐれなのは、仕方のないことなのよ」
「でも」
才人はすっきりした頭で反論する。ふつふつとたぎる不満をもすべて吐き出してしまいたくなっていた。
「あいつ、自分から誘っておいて、結局嫌だって」
「まァ。あのお子ちゃまが、自分から」
キュルケはくすぐったそうに笑う。――才人の耳もとにぴったりと唇をよせて、低い声で笑うキュルケは、それだけでどきどきするほど色っぽい。
「分かってあげて。あの意地っ張りには、それが限界だったのよ」
「でも、毎回我慢するこっちの身にも――」
「初めてなのよ。怖いのよ。ましてそれがルイズなら」
「……なんだか、妙にルイズの肩を持つんですね」
才人がいじけて言うと、キュルケはその頭を胸の奥深くへとうずめてやりながら、
「そうね。あの子は鼻持ちならないけど――でも」
才人の耳を軽く噛んだ。ちゅ、と鳴らした唇が、いやに耳の中で響いて艶かしい。
「わたしにも、初めてのときはあったから」
同情しちゃうのよね、と、キュルケは、ほとんど息だけで囁いた。
「どんな風だったの?」
「気になる?」
「うん」
「ふふ。妬いてくれるのかしら?」
「はは、そうだね、キュルケみたいな人の最初の相手になれるなんて、羨ましいかも」
キュルケはつかの間遠い目をした。
「――とても好きな人だったわ、とだけ」
「それだけ?」
「ええ。それ以上は秘密」
「覚えてないだけだったりして」
「まさか。いまでもありありと思い出せるくらいよ」
「……痛かった?」
「もちろん」
「痛いからやめてって言ったりした?」
「したわ」
「そのときその男、どうしたのさ?」
「やめなかった」
「無理やり?」
「なかば、ね」
「……最低だね」
「とんでもない」
「嫌じゃなかったの?」
「嫌だったわ」
才人は子どものように唇をとがらせる。
「じゃあひどいじゃないか。嫌がってるのにむりやりするなんて」
キュルケはしばらくきょとんとしていたが、それからふ、ふふ、と笑い出した。
「……なんだか、百%じゃないといけないみたいね」
「え?」
「"好き"か、"嫌い"か。"したい"か、"したくない"か。ゼロか百かしか存在しないのかしら」
「……え」
「人の気持ちって、そんなにはっきりと割り切れるものだったかしら」
キュルケはつぶやいて、才人の顎に手をかけた。舌を出さずに、唇だけを重ねて、押し付けてくる。ぼんやりとキュルケの肉感的な唇を感じながら、才人はルイズの、子犬のような、かわいらしい舌先を思い出していた。
唇同士をたっぷりとすり寄せて、満足したのか、キュルケは陶然と才人を見つめる。微熱を帯びたような挙動で才人の肩に頭を寄せて、体重をかけて才人をベッドの上に押し倒してしまった。
「……っ!」
才人はキュルケの大きなおっぱいに押しつぶされる。窒息しそうになりながら、前留めのサテンリボンが目の前一センチで、しゅっと音を立てて外されるのに、なんとなくどきりとした。爪にまぶした金粉がきらりと才人の視界に焼けつきを起こす。
ぱらり、とはだけるブラウスの合わせ目。そこに鼻づらを否応もなく押しつけられたまま、なすすべもなく才人は、あが、とケモノのように歯を立てる。
「こー、ら」
キュルケはくすくす笑った。才人の黒髪に頬をくっつけて、おかしくてたまらない、といった具合にぐりぐり寄せる。才人は胸元にじゃれつくふりをして、服を左右に流してやった。
いやらしい色の乳首が、生意気そうにツンと上を向いて、現れる。
才人は噛みつくのをやめた。ちゅ、と唇を鳴らしてくちづけたかと思うと、胸の一番深い谷間から、急角度でこんもりと盛りあがる玉の肌の頂まで、ゆっくりと唇を這わせていく。
乳首を口に含むと、キュルケはくすぐったそうに笑った。
「ふふ……あはは。なんだか、子どもみたいね」
才人はなんだかばつが悪くなってきた。
投げやりにグラマラスな体をベッドに横たえているキュルケは、昨日のルイズのように陶酔の極地にいるわけでもなければ、シエスタのようにめくるめく非日常に瞳を輝かせているようにも見えず、ひどく眠たそうに見えた。
緊張して、期待しているのは、才人だけのようだ。
火をつけてやりたくても、どうすれば焚きつけられるのか、才人には分からない。
「どうしよっか」
キュルケがささやく。才人からは見えないところで、キュルケは硬さの取れない才人の分身を、手遊びにいじくりまわしている。けだるくにぎにぎする手つきには、親身な優しさがあり、だから才人も再び臨戦態勢を取り戻しつつあった。
「俺、たぶんうまくできないよ」
言い訳がましく言う才人に、キュルケはちょっとだけ手をとめた。すぐに緩慢な加圧を再開し、亀頭の丸みから竿にかけて脈動するように力を込めながら、ゆっくりと、言葉を選ぶように、問いかける。
「……うまくできないと、ダメなの?」
「いやほら、俺テクとかないっすから」
「まるであたしが、とんでもない玄人みたいな言い方ね」
キュルケは重たげに上半身を起こすと、ずずず、と重い荷物をひきずるようにして、柔らかな塊を才人の体に這わせてやりつつ、両の胸を才人の頭から腰元へ移動させた。
違うのか? とは、さすがに言えなかった。なんだかとても失礼な気がした。
「怖いの? あたしに、気に入られないかもしれないって」
「うん。たぶん。がっかりされそうだし」
キュルケは、ふうん、と気のない返事をした。
「だったら、動かなければいいじゃない」
「でも、それはやっぱり、男として」
「いいじゃないの。ああしろ、こうしろって、偉そうにしてれば」
キュルケはあっさりと切り捨てる。
「男の人はね、堂々としてるのが一番よ。ちょっとぐらい傲慢でもね」
言い切ると、キュルケは才人の竿のいちばん根元に、唇と舌を添えた。
ちろりちろりと繊細な動きで、三枚いっぺんに使ってくすぐりながら、一気に裏筋を滝のぼりのようにかけあがる。亀頭のてっぺんで、今度は淫猥な音を立ててじゅっぷりと吸いついた。じゅぷ、ぐじゅ、と、蜜月のように甘く唇と棒と舌とを絡めあいコラボレートさせながら、惜しむように遅々と下っていく。長い名残を残して粘膜同士の熱い抱擁を引き剥がすと、今度は亀頭のてっぺんに唇をつけた。したたる唾液でぬめる唇をいやらしく滑らせて、しずしずと亀頭をその内部へと吸い込んでいき、すぐ裏の頬肉を突き出して先端すべてを肉の質感でみっちりと包みこんでやる。
キュルケは吸った。シェイクを飲むときでもこうまで顎の筋肉を使うまいというほどの勢いで頬をへこませ、ぬぢゅうぅ、ぢゅ、ぱちゅうぅっ、と、すごい勢いでいやらしい音をさせながら、フライングで垂れた透き通った体液をあまさず口腔内に吸いあげる。
ぬぽっ、と、重いコルクが外れたときのような音をさせて、キュルケは口を離した。間断おかず、今度は竿ごとひとのみにして、舌の腹を蛇のようにくねらせ始める。じゅぷじゅぷと口全体を胎動させて、亀頭を上顎の裏に打ちつける。
と――そこでキュルケは思い出したように居住まいを直して、釣りがねのようなおっぱいで、才人の幹の根元を挟んだ。ぬめらかな幹から、つうっ、と熱した体液が一筋、灼けた肌を玉になって滴る。
そこをもろとも両手で押しつぶし、抱き込んで、ほとんどぴったりと張り合わせるようにして、キュルケはおっぱいを激しく上下にグラインドさせた。
にちにちにちにちゃっ! と、粘性たっぷりの摩擦音がこだまする。
才人の筋が、きゅうっ、と反応した。
「う、わ、ちょ、キュルケ!」
「こういうの、お嫌いかしら?」
「違うよ、すごすぎて、なんだか――」
才人は悲鳴を押し殺した。急速に速射の体制が整い、今では呼吸するのにも気が抜けない。ちょっと油断するとすぐにリミットが外れそうになる。
「どうする? このまま胸か、それとも」キュルケは才人の袖をひき体を見せつけて、股間の茂みを指し示す。「ココか。ふふ」
キュルケのおっぱいは片手では支えきれずに、ずりゅっ、と幹が滑って軌道をはずれ、胸の肉布団の外に飛び出した。それを無理やり捉えてこすると、にゅぐっ、とまたあらぬ方向に竿が逃げる。その不規則な動きがいっそう気持ちいい。
「……キュルケは? したいの?」
肩を妖艶にくねらせて、胸を情熱的にゆすりたていたキュルケは、涙袋を浮かべて笑った。
「ご自分でお改めになってはいかが」
その声は、ぞくっとするほどかすれていた。身を焦がす情熱の前に昂ぶり、固唾を飲む女しか出せない声色。
キュルケは才人から上半身を離した。つぅっと体液の混合物が一本、糸を引いてはかなく消える。
スプリングをきしませて膝立ちになったキュルケは、唖然と見守る才人の眼前で、肉の花びらのつぼみを、そっと押し拡げてみせた。
そこはとっぷりと濡れそぼっていた。もはや絡め留めておけなくなった体液が肉ひだの隅々を潤し、茂みまでをも濡らして、いまにもしずくが滴り落ちてきそうですらある。
キュルケは、ぺたん、と尻持ちをついた。
濡れた陰部で、才人の屹立したもののうえを、ぬらり、と這った。
「んん……」
この期に及んではじめて聞く、キュルケのせつなげなため息。くぷ、と才人の硬いところに自分の水も同然に柔らかいところを押しつけて、続けて何度も、くぅん、と鼻を鳴らした。
「才人……」
懇願するように、キュルケが囁く。濡れた赤目でじっと見つめ、もの欲しそうに唇をたゆませる。そうやって射すくめられるとよく分かる、キュルケは迫力のある美しい顔立ちをしている。続くデコルテのラインのたわわかな曲線。この谷間の稜線の存在感と美しさに悩まされた奴は大勢いるだろう。
「欲しい」
「ん……うん」
才人の屹立したものに指をかけて、傾斜を上向きに修正すると、キュルケは腰をあげてその先端に敏感な部分を寄せる。
そして少しずつ、体重を乗せて、体を沈めていった。
「……んっ……ん、んん、う、ふっ――あぁ……っ!」
さきほどと同じように、ぺたんと才人の上に座りこむと、キュルケは喉あごを仰け反らせて体を震わせた。たまらない、留めがたいというように、うずく結合部を腰全体をくねらせてすり合わせる。
「――く……っああぁ……っ!」
遠慮がちな腰のスライドが加速度的に深度を増しうねりを増し、リズムを伴って、すぐにひたむきな上下運動になった。キュルケの大きな乳房が左右ばらけてバウンドし、才人の視線を釘づけにする。
とろみを帯びた激しい抽送がダイレクトに脳髄にこだまする。甘味によく似た脳内物質が頭いっぱいに氾濫し、喫水線をはるかに越えて体を蝕み、どんどん目先の快楽に溺れさせる。
ぬちゅ、ちゅぷっ、ぐぷ、ずちゅっ――
キュルケの動きは、ほとんど暴力的なほどに激しい。ともすると痛みに耐えているのかと思うほど眉根を寄せて、壊れそうなくらいに腰をくねらせ、結合部をめちゃくちゃにかき乱している。
それに合わせて才人も、少しずつ、突く動作をくわえはじめた。
「――っ!」
声にならない、人間には出せない高音を搾り出すように、キュルケが乱れた息を吹きこぼす。大きなおっぱいがぶるりと揺れて、才人の動きに合わせて踊る。
キュルケは惚れ薬を飲み干したような顔つきをした。才人を歓喜の瞳で恋焦がれるように見つめ、まとまらない思考をそのままナマのままぶつけてみせる。
「あっ、いいのいいそう、いい、あっ、してちょうだ、あっ! あぁっ!」
キュルケは自分の大きな胸に指先を食い込ませた。勃起しきって充血している胸の先端をくすぐるようにいじりながら、弾む乳房の塊を乱暴にゆさぶってみせる。
「ああんっ――すご、すごい才人、もっと、そう、そう、そうよ素敵、あっあぁ……!」
いっとう奥深くまで貫かれるたびに、キュルケはぽってりとした唇の端から涎を垂らさんばかりの、弛緩しきった艶かしい表情を見せ、揺れる重たげな胸を才人の視界いっぱいにそらしてみせる。キュルケの胸は、激しすぎる振動でちぎれそうになっている。
キュルケ自身も息が切れて、肺がちぎれそうになっていた。
「あ、あ、あ――!」
ビートを勝手に刻まれて思うように声も出せないようだ。小刻みに母音をとぎらせながら、かすれた声でささやきつづける。
「才人、才人っ、ああっ、さいこぉっ、ああうぁっ、んぅうっ!」
キュルケが豊かなふとももをひらめかせる、おなかからのけぞってみせる、背骨を限界まで反り返す、ちゅぐちゅぬちゃっ! ――挿入口が派手な音を立てて抜き差しを繰り返す、柔らかい生身同士を痛くなるぎりぎり手前ですり潰し合う、キュルケの胸が振動で形を変える。
「いやぁっ、だめぇっ、もう、もうだめ、才人、さいとっ!」
キュルケが上半身をそれまでで一番くねらせて、才人の胸に頭をうずめた。ゆっさゆっさと揺すり揺すぶられつつも、キュルケのからだがそれまで以上に反応しはじめているのが才人にも分かる。全身に緊張を張り巡らせ、キュルケはひくりまたひくりと肢体を痙攣させている。
「たし、も、だめ、才人、あくぅうっ、これいじょ、はっ」
「キュルケ、いけそう?」
キュルケは物憂げな瞳を頷かせてみせた。細い鎖骨の下に凶悪なほど大きな胸がぶらさがって揺れている。細い肩が折れてしまうのではないかというほどの動的な律動。
才人は懸命に突きを繰り返す。あまりにも深く突きまたあまりにも先端まで抜くので、ともすると外れてしまいそうになる。ずぬぷっ、と限界まで甘い果実を貪り食い、ちゅぷぬるっ、とかなりの苦労を割いてねっとりと引き剥がす。
「さいっ……ああんっ! ね、もう、いっても、あぁっ、ねえ、さいとっ」
「いいよ、俺も、そろそろ」
「あっ、あっ! ああぁっ! くうぅっ! いく、いくいっちゃうぅっ!」
ふるるっ……と、キュルケの肩に、腰に、震えが走った。
びくんっ! と、強烈な痙攣が才人の屹立したものを締め付ける。
それが誘爆源となり、才人の肉棒も連鎖を起こした。視界もろとも才人の脳内がホワイトアウトを起こし、びくん、と震えたのをきっかけに、めちゃくちゃな快楽を引き起こしながら、猛烈に体液を暴れ散らす。
びくびくびくんっ! と、なおもキュルケの内部は痙攣し収斂し、才人の分身を一滴余さず搾取し吸い尽くし、しごきあげていく。
「ああぁ――ッんんん……!」
キュルケはハスキーな嬌声をおなかをしぼって吐き出しきり、やがて力尽きて、才人の上に折り重なった。
五 シエスタ へ飛ぶZEROのつかいま 目次ページ へ飛ぶ
- 関連記事
-
Information