三話目 ミカサは心臓を捧げたい
それはエレンがトイレにいたときだった。
ミカサが風のようなすばやさで割り込みをかけてきた。いきなり全速力で入り口から詰め寄ってきた人物がミカサだと気づき、エレンはぞっとした。
反射的に見回した周囲には誰もいない。声をあげるか、遮蔽物の中に隠れるか。ほんのわずかな戸惑いが命取りになった。ミカサは襲撃時もかくやという滑らかな動きで、的確にエレンの背後を取った。
「ミッ、ミカサッ――むぐっ!」
口を押さえつけ、68kgの膂力から繰り出す近接格闘術の威力を使い、エレンをコンマ数秒で個室の中へ引きずり込んだ。
鍵をし、扉をふさぐようにして立つミカサが、やけに恍惚とした表情をしている。
ミカサはやたらに体をすり寄せ、シャツの下の豊艶な胸をぐいぐいと押し付けながら、エレンの耳元に息を吹きかけた。
「エレン、こんなところに私を連れ込むなんて大胆……」
「お前が! お前が今力ひっぱい引きずり込んだんだろ!!」
「とぼけないで……さっき、エレンは私にこう言った……
西の校舎で自主練をする……一人だけで追試でいやになる、って……
あれは私を誘っていた……」
「誘ってねええええええ!」
近頃のミカサはずいぶん吹っ切れて、やたらにエレンを誘ってくるようになった。本当にちょっとの油断が命取りだ。隙を見てはエレンと二人きりになりたがるし、わけの分からない理屈でエレンを襲いたがる。
ミカサはエレンの首に手を回しつつ、片手でYシャツのボタンを外す。ぷちぷちとあらわになっていく開襟シャツの下は生肌で、ミカサは下着をつけていなかった。
ぷくぷくになった勃起乳首をエレンの胸板にすりつけて、ミカサは悲鳴をかみ殺す。
「いひゃぁん……! エレン……言いつけどおり、何もつけてこなかった……」
「何も言いつけてない!!」
「だって……『何かいるものはある?』と聞いたら、『何も』って言った……
余計な飾りのない私を抱きたい、と……」
「お前の解釈力どうなってるんだよ!?」
「エレンはいつも無茶ばかり言う……でも……そんなエレンが好き……もっともっと辱めて……」
「耳がおかしいのか頭がおかしいのかどっちかにしろ!!」
ミカサはご主人様に尻尾を振る犬と同じ澄み切った純粋な目で、頬に満面のとろけた笑みを浮かべ、エレンに真正面からキスをした。
「んんっ……ちゅぅっ……」
唇でエレンを陵辱していく。汁気のしたたる木の実でも押しつぶすようにして、じゅく、と舌が激しい音を立てながらエレンの中にねじこまれ、体から力が抜けそうになる。
ミカサの舌が入ってくると、なぜか立っているのも辛くなってくる。目の前がぐらぐらと煮えてきて、自分がどこにいるのかも忘れそうになった。
妖艶な舌技で無慈悲な陵辱を続けるミカサの、『あなたのためならどんなプレイも辞さないわ』と言わんばかりの(実際言っていたが)熱烈な愛情表現に、何もかもどうでもいいやと投げ出したくなってくる。
散々エレンの唇を味わいつくし、ちゅぽっ、と音を立てて離れたミカサは、理性の砕けた声で熱く囁いた。
「静かにして……誰かに見つかれば、営倉行き……もしかしたら、退校……」
「そ、それは困る……」
「時間もあまりない……手早く済ませよう」
ミカサはエレンのズボンを脱がさず、エレンのモノだけ取り出した。きゅっと逆手に握り締め、指先でかすめるようにしてゆっくりと愛撫する。
ひとかたならぬ熱烈さでちゅっちゅっちゅっと顎にも耳にも頬にもこめかみにもくちづけていき、もはや崇拝の域にすら達しているうっとり顔でエレンのことを注視する。
エレンが持ったのは、もったいねえなぁ、という、ひどく他人事な感想だった。
客観的に見ればミカサは悪くない。クールすぎる物腰で男どものアプローチ未満の接触すら完全に遮断しているものの、遠巻きに眺めるファンは意外と多い。
ただ、エレン自身は一緒にいすぎた期間が長いせいか、どうしてもそういう対象とは考えられないでいた。
(残念すぎる、よなぁ……)
ミカサはチュニックの下に手を這わせると、腹をさかのぼってエレンの乳首をこすりあげた。
びく、と、背筋が驚きと未知の感覚で震える。
「じ、時間ないんじゃないのかよ」
「そう、だから、同時に責める……」
ミカサはエレンを撫でるのをやめて、自分のズボンを解きにかかった。
「私の準備は万端……エレンとこうしてるだけですぐに溶ける……」
膝まで下ろされたズボンの間に、爛熟した媚肉が見えた。閉じ合わせがほころんでいるところに赤く充血した内側の粘膜が覗き、柔らかくひくつきながら透明な体液をつぅっと垂らしている。
ミカサはどう見ても発情しているとしかいいようのない表情で困ったように眉を下げ、エレンの耳元で、はーっ、はーっ、と喘いでいた。乱れた熱い呼吸に、本気で昂ぶっているのだと分かる。
(……すっげぇ、やる気満々)
いつも無表情と冷徹を足したような顔つきでいるミカサも、羞恥と高揚で頬を赤くしていると、別人のように見える。
こんなのはおかしいと思いつつ、容貌にあからさまな欠点のない、すっきりした美しい瞳の少女に欲情まるだしで胸板にすりついてこられると、妙な気分が次第次第に伝染してくるのがわかった。
「あれからずっとエレンにまたしてあげられるのはいつか考えていた……こんなにすぐにチャンスが来るなんて」
ミカサは愛情のこもったくちづけをエレンの首筋に這わせながら、エレンの肉棒を内股ぎみに挟み込んだ。ぬめったぬかるみがてろりとエレンの側面をくわえこみ、傘がミカサの一番柔らかいところにひっかかる。
硬く立ちすぎて安定しない竿を指先で巧みに押さえ込みつつ、ミカサは股でエレンのものを扱きはじめた。
煽るような微弱な刺激がエレンの腰を直撃し、ミカサの舌が鎖骨の上を辿っていくのでさえ倍増しで気持ちよくなってくる。
「しかもこんなところで……少し騒げば見つかってしまうのに……なのに……私は……エレンがこれを望むのだと思うと……感じてきて……しまう……」
エレンはもう何も言えない。相手がミカサだとはいえ、甘い香りのする髪や白い滑らかな肌を盲目的な恋情まみれで密着させてくる女体を前に、なすすべなどあるはずもない。
服をしどけなく解いたミカサの鼻先がエレンの胸襟をすべり、ひたむきにもどかしいくちづけを与えていく。ごく優しい舌使いで、宝石でも扱うように、ゆっくりゆっくりと胸を南下する。
やがてミカサはエレンの乳首を口に含み、しゃぶりながら唾液で溶かしてきた。
口で巧緻のきいたたおやかな刺激を一心にくわえるミカサが、つとエレンを見あげる。黒い濡れた瞳が無言で問いかけてくる。気持ちいいか、と。
エレンは慌てて顔を背け、焼け付きそうになっている頬を手の甲でかばった。こんな顔、見られたくない。とっさにそう思ったからだが、ミカサにはそれで全部バレてしまったらしい。
ミカサはエレンのチュニックに豊かな大胸筋と脂肪でできたおっぱいを押し付け、突端の赤い実をくりゅくりゅと転がしながら、どんどんエキサイトしていく。
「あふっ、ふぁぁっ♥ ……エレン……エレンが好き……」
ミカサはエレンの腰に手を巻きつけて、いとしげにエレンの首筋へ顔を埋めた。しっとりとした艶の流れる黒い髪がエレンの首筋にも鎖骨にも絡まり、ミカサのいやらしい吐息がかかる。
「あの日、私は死んで……エレンのために生まれ変わった……私の人生はあなたのもの……あぁ……エレンが私にこんなことまでさせてくれるなんて……すごく、ゾクゾクする……興奮して……たまらなくなるっ……んぅっ……♥」
ミカサの声がどんどん高みに登りつめていき、エレンのものを挟み込んだ内股のねちゃねちゃがより一層絡み付いてきた。
エレンはため息が漏れそうなのを、すんでのところで我慢した。ミカサの『好き好き攻撃』には謎の伝染力があり、こちらにその気がなくても強制的に気分を高められてしまう。
エレンはすでに精神的に追い詰められつつあった。平静を装いたくて、心にもない罵倒が口をつく。
「……変態……」
ミカサはぞくぞくと背中を仰け反らせて、エレンに縋りつく。目の中に星やらなにやらが飛んでいる。
「いい……! エレン……私は……エレンに苛められると……すごく……気持ちいいっ……」
エレンの横棒を浅く埋没させながら食らい込むミカサの肉襞がぎゅうっと収縮し、大量の粘液を吐き出しながら前後にぬめっていく。頼りなげなその動きが、腰が砕けそうなほど気持ちよかった。
「あぁぁっ……♥ エレン……冷たくても、ここはこんなにアツい……素直じゃないエレンも……好き……大好き……!」
余計に興奮させてしまった。もう迂闊なことは言うまい。
ミカサはエレンの竿を濡れ濡れの貝襞で横ざまに刺激し続けていた。にちゅっ、ぬちゅっ、と、泥まみれの淫猥な音がひっきりなしにするのは、ミカサの泉からあふれ出してとまらないせいだろう。
「エレンは……もっと私に立場を知らしめるべき……私は……エレンのあわれな雌豚だ……だから……恋人になんかしないと……便利なお前が欲しいと……私に……奉仕を強要すればいい……」
ミカサの落ち着いた冷静な声が恋病のようなはしゃぎぶりを加味されて、滔々とエレンの脳に浸透していく。どうかすると洗脳されそうだ。
(こいつはミカサで幼馴染で、家族で……)
ぐるぐると思考が空回りするが、惚けた顔でミカサに擦り寄られると、なぜか瓦解して消えていく。ミカサはジャケットの下、はだけたシャツから生乳を強調するように覗かせつつ、下半身をくねらせて肉襞で竿の横を執拗にこすりたててくる。その濡れて溶けた感触が、脊髄に氷でも突っ込んだように快感を送り込んでくる。
ミカサは下半身のバネを縦横に使い、エレンの我慢の限界を誘っていく。少しつつけばどこまでも埋没していきそうなとろとろの肉に包まれながらしごかれるうちに、横の表皮だけではなく、亀頭の部分にもっと直接的な加圧を受けたくてたまらなくなる。
ミカサの胸がジェル状の柔らかな動きで谷間を見せつけながらふるふると揺れ、揺れるたびにエレンの勃起が肉厚の花弁にからめとられて、喘ぎたくなるぐらいの快感が脳に突き抜けた。
「エレンが望むなら……私はなんでもする……犬のように這いつくばれと……口でしろと言うのならそうする……手でも……胸でも使ってくれて構わない……」
気づくと、ミカサの胸を食い入るように見つめている自分がいた。自分とミカサの間に挟まれて波打つ淫乳に、がちがちの赤い勃起が乗っている。エレンは頭を振ってよこしまな思いを追い出そうとする。知らない間にずいぶん自分も煽られてきていたことが、どうしてもショックだった。
「なぁミカサ、俺はそんなことはしないって何度も言ってるよな……」
「……知っている。エレンはやさしすぎる……私はそれが不満だ……」
「もうやめてくれ……俺はただ、ミカサが喜ぶからつい……」
「そう。エレンは流されやすい……とても、弱い」
ミカサは濡れがちの瞳を忠誠と心配の色に染め、突き刺さるような評価を下す。
ミカサの黒い瞳にそうやって目で訴えかけられると、どう説明すればいいのか、エレンはとにかく弱ってしまうのだった。
ミカサはエレンの硬く反り返りそうになる勃起を手で制しつつ、微妙に角度を変えた。真横から陰貝にあてがっていたのをもう少し上向けて、興奮で痛いぐらい膨らんだ亀頭にぐじゅりと花弁を触れさせる。
「あっちょっ、やめろ、ソコ、触んなっ……」
「弱いから、悩む。欲に負けるのが嫌だと言いつつ、私を誘う……」
「誘ってないって何度言えば……」
「悩むことはない……私はただ、エレンの弱さを補うだけ」
エレンは息が詰まって反論もできない。足の裏から股間まで一本芯でも通されたように快楽を求めて力が入る。腰の奥に甘い電流でも流されたように、陰茎のこわばりが強く大きくなる。
ミカサがほんの少しだけ動き、下陰唇のねっとりとしたくちづけがエレンの傘のせり出しをしつこく覆う。思考がどろっと流れ落ち、ひざから崩れ落ちたくなるような淫楽がどっと脳内にあふれ出た。
「くっ……うぅ……」
「ほら、私にこうされただけで……エレンは我を失くす……」
エレンはミカサのゆるゆると波間をたゆたうような動きが狂おしいほどもどかしくて、ぐぐ、と腿にも背筋にも力が入る。
くちゅ、くちゅ、と、ミカサはキャメル・トウの一番上にぬめ光る血のように赤い豆突起めがけて、エレンの角度を調整していく。
「はぁっ……あぁ……エレンのでぇっ……ここをぐりぐりすると、とても……気持ち、いいぃっ……! 潰して、ぷちゅぷちゅってぇっ、あぁっ、ダメぇ……! 感じ、すぎる……!」
エレンは疲労のあまり顎が上がってくるのを意識した。まぶたが下りてきて、全神経が陰桂の皮のこすりたてに集中してしまいそうになる。甘くくすぐるようでいながら暴力的な多量の脳内麻薬が、エレンの思考をほとんど使い物にならなくさせていく。
「くぅぅ、ふうぅぅん……♥ 硬くて、まっすぐで、私の中に入りたいって……すごく、言ってる……エレンのここは、とてもかわいい……」
ミカサの指と腰がバラバラの動きでエレンの傘や裏筋を自分の割れ目にこすり付け、じゅくじゅくの粘液をまんべんなくまぶしていく。その激しすぎる水音に、耳から陵辱されてる気分になってきた。
「エレンは何も考えなくていい……あなたは私が守る……
身をゆだねてくれればいい……私を、受け入れてくれればいい……
悩むことはない……ただ、いいことだけ考えていればいい……」
ミカサはエレンの勃起で陰核をすりばちのように潰しながら、溶けきった顔で首を振る。ゆっくりと揺れるつむじの不規則な動きが、ほんものの陶酔からくるものだというのは一目でわかった。
ミカサは最初からクライマックスで、今はぎりぎり踏みとどまっているような有様だった。
「エレンも期待していたでしょう……? いつもより私を気にしていた。何度も私の方を見ていた……おかげで私はずっと苦しくて……」
飢えきった肉食獣のようながっつき加減でミカサの舌がエレンをねぶる。唇、その裏、舌先、その奥へと、甘くみだらな交接を続けていく。
そのキスだけでエレンは背筋がびくりと震え、刻一刻と近寄ってくる快楽の予感が精の管の奥のほうに芽生え始める。
「あぁ……もう露が出てきた……こんなにびくびくして、辛かったでしょう……」
ミカサがエレンの切れ目に滲む透明な雫を愛しそうに指ですくい、ちゅぷ……っと口のなかに含んだ。
「待って……いま、楽にしてあげる……」
ミカサはエレンの方へ不自然に腰を捻ると、どろどろの陰唇をそっとエレンの上に覆いかぶせた。
そのまま、腰を一気に押し込めていく。
「はぁっ、ひぃ……っ! んんッ――んくぅっ! あ、あ、はぁっ、入って、くる……! おっきい……すごく、つら……あはぁっ……!」
ミカサの甲高い声が脳天に突き刺さる。つぷり、と先端がミカサの入り口を物柔らかに押し広げ、薄桃色の深い裂け目に肉の棒が深々とつき立てられていった。
「あぁぁ、エレンのが……すごく奥まで入ってる……」
左右にたっぷりとくつろげられた肉のクレヴァスから、陰棒がそそり立っているのが見える。生の肉襞のピンク色がそこからはみ出ていて、呼吸するようにひくひくと震えていた。脈動のたびに透明な粘液が溶け出してきて、太い血管を這わせた勃起に絡む。
ミカサがエレンの腰を抱くと、ぬらつきを帯びた浅黒い勃起が滑らかな動きで飲み込まれて、動かなくなった。がっちりと根元まで受け入れられている。快楽が押し包まれた陰茎の表皮から流れてきて、腰の骨からどろどろに溶かされていきそうだ。
「ンンッ……入っ、た……エレンを……全体で……感じる……すごくたくさん……感じる……うぅっ……はあぁぁぁっ……」
ミカサは美乳が歪むほど体を密着させてきて、ため息をついた。背中と腰に回された腕がきりきりと力を強め、より深くをこじあけるようにして、中洞の行き止まりに先端が沈んでいく。
「ふ、かいぃっ……! どんどん……入ってくるぅぅっ……!」
ミカサの体にごりっと音でも立てそうなほどぶつかると、エレンの肺から全部の息が搾り出されて無様なうめき声になった。体が震えて、てろてろの淫水にまみれた胎内をえぐってやりたくなる。
「私の……心臓は……エレンに捧げる……体も全部、あげよう……それが私には一番の幸せだから……ッく、あぐぅっ……! エレン、あまり、大きくされるとっ……! 自制が、きかなくなりそう……!」
そうは言っても自在に操れるものではない。無駄のない筋肉の上に載ったまっしろな乳脂肪がふよんふよんと頼りなくさざなみを立てている。形のよい胸のひんやりした感触をべったりと押し付けてこられるような完全密着体勢で、制御しろと言われてもできないのはエレンも一緒だった。
ミカサは黒目がちの瞳を泣き出しそうに潤ませて、大きく眉を寄せる。だらしなく開いた口から、はっ、はっ、と浅く乱れた呼吸がこぼれ落ちていた。
「エレンが好き……ずっとずっと前からエレンだけが好き……世界の何よりもエレンが大事……エレンさえいたら……もう何もいらない……っくぅ……ううぅふぅっ……エレンん……エレンと一緒にいられるだけで……! すごく、すごく幸せ……!」
言葉どおり感極まったトロ顔で頬を薄桃に染め抜きながら、ミカサはしどけなくエレンの首に手をかける。唇をついばんで、いっそ狂気じみた恍惚を瞳の中に浮かべて、体をゆっくりとくねらせた。
ミカサの細腰がぐるりと円を描き、ぐぢゅぅっ、と限界まで圧搾するような濡れ音が響き渡る。
一度抜いて挿しただけの動作で、全部持っていかれそうなむずがゆさが尿道を突き抜けた。熱くひくつく柔襞が隙間なくぴったりと張り付く感触に、目の前が遠くなる。
「もう我慢できない……っ! ふぁっ、はっ、あぁっ、あああっ、はぁぁぁっ!」
ミカサは不自然な体勢から驚異的なしなやかさで恥骨を擦り付け尻を揺らし、スムーズに抽送をし始めた。
水と快楽で限界までふやかされたミカサの胎内が、エレンの先端から根元までをするっと受け入れてはまた離れていく。絶妙なうねりと収縮を繰り返すその中に何度も何度もエレンのものが扱かれる。
打ち付け続けるごとに結合部は蜜と空気が絡まりあってぐちゃぐちゃになっていき、ずぷっ、ぐじゅっ、ぬぢゅっ、と、あられもない水音が立ち始める。
べちゃべちゃの柔肉がこれでもかというほどねっとりと絡みつき、吐精を欲するようにぐずぐずになっていく。
「ひぃぃっ、いいぃっ、すごくいい……! すきぃっ……! エレン好きいぃぃっ……!」
ジュグゥッ……ズチュゥッ……ヌグプゥッ……
きっちりと食い締めて離さない胎内をミカサは腰のスナップで上下に揺り動かし、膨れ上がった硬茎を舐めしゃぶるように刺激していった。甘く柔らかい感触がエレンにたっぷりとまとわりつき、裏返りそうなほど激しく包み込みながら上から下にスライドしていく。
「きついっ……、抜け、そうっ……!」
不自然な体勢で足を開き、エレンを迎えているからか、ミカサは思うように動けないようだった。
「エレン……こっちに立って……そのままだとっ……動きにくい……」
「うわっ!?」
ミカサはエレンの体を強引に引っ張り、入ってきたドアの板へと押し付けた。その膂力の強さにエレンはなすすべもなく板ばさみにされる。背中を預けたドアが、ぎぃっ、と、脆い蝶番の音を立てる。
「これでいい……」
エレンを固定することで動きやすくなったのか、ミカサは倍以上のペースで腰を使い始めた。ぎっ、ぎっ、ぎっ、と、今にもドアが外れそうなほど軋む。激しすぎる動きを耐えているのは、頼りないかんぬき一本だけだ。
ミカサに真正面からがっちりと押さえ込まれて、窒息しそうになる。
「あぁっ……こうするとぉっ……すごく、深いぃっ……! エレンのが、ごりごりって……言う……!」
視線を落とすと、肉竿にぱちゅぱちゅとリズミカルに打ち付けられる結合部が目に入る。包皮のついた赤い神経珠の根元までざっくり割られた熱襞が、暗紅色の粘膜をちらつかせながらたっぷりと太い幹を飲み込んでいる。神経の隅々まで侵すような甘苦い快楽が竿のてっぺんから腰の奥までを串刺しにしていく。
エレンは急速に坂をかけのぼっていくのを感じた。パルスが容赦なく快楽一色で染め上げられ、ミカサの襞にこすられるのがどうしようもなく心地いい。
ミカサはひたむきに動き続けた。痛いぐらいの締め付けでエレンの上から下までを容赦なく絞り上げ、その動きにはいっぺんのためらいもない。休むことなくガンガン送り込まれてくる熱いうねりと性快楽がエレンをがけっぷちに追い詰めていく。
「……く、うぅっ……」
こらえきれなくなった吐息がエレンの喉から漏れていった。直線的に高まっていく感覚に、体裁が取り繕えなくなってきている。
「エレン……」
ミカサが立ったままの抽送をひたすら行いながら、気遣わしげに覗き込んでくる。黒い丸い瞳が自分を大写しにして、うっとりと溶けていた。
ミカサにドアへ固定されつつ、心から嬉しそうに見つめられて、エレンは心身ともに逃げ場を無くして目を泳がせる。頬が異様に熱いので、きっと無様な赤ら顔を晒しているのだろうと思う。
「エレン、そろそろ……」
ミカサがうっとりと呟こうとしたとき。
――バタバタバタッ!
遠くから人の足音が近づいてきて、まっすぐトイレの中に駆け込んできた。
「――!」
エレンは戦慄し、とっさに息を止める。
「はぁーっ、間に合ったぁーっ、とっととぉ……」
ドア一枚へだてた向こうで、誰かが用を足している。
ミカサもその音を聞いていないはずがないのに、相変わらず苛烈な動きでぐちゅぐちゅとエレンを攻め立てていた。
――ぐちゅっ、ずっ、ちゅっ、ぬっ、ぷっ、ぐぷっ……
肉同士がすり合わされ、つぶれて溶け合う生々しい音と、こらえきれない荒い息がトイレの個室に鳴り響く。エレンのみぞおちに冷たいものがつきあがる。
「ミッ、ミカサッ、ちょっと止まれって! 聞こえたら……」
小声でたしなめても、ミカサの動きは止まらない。リズミカルなストロークがエレンの体に容赦なく叩きつけられ、エレンの背中をドアへと押し付ける。焦りを深くしながら、エレンはすんでのところで踏みとどまる。錆びた蝶番の音はよく響くことだろう。吐息は誤魔化せても、ぎしぎし言う扉は誤魔化せない。
「やっ、やめっ、ミカサッ……! あ、くぅっ……」
「エレン、静かに」
「お、お前が揺らすからっ……!」
「わかってる……でも、止まらない……」
――じゅぷっ、ぬぷっ、ずぷぅっ、ぬちゅっ、くちゅうぅっ……
息を殺した固執の中で、粘ついた水音がやけに大きく聞こえる。
「あれーぇ? なんか変な音がすんなぁ」
恐怖にエレンの体がすくむが、ミカサはお構いなしにエレンをがっぷりとくわえ込む。ねっちょりと蜜と柔肉でエレンの肉棒の表皮を絡めとり、隙のない動きで抽送を繰り返す。目の前に桃色の霞がかかり、背中がドアにくっつきそうになる。必死に体勢を整えなおそうとしても、猿のように同じ動きを繰り返すミカサの欲望一直線の性戯がそれを許さない。
――ずぬぷっ、ぐぶぅっ、ぬりゅぅっ、ずぷぷぅっ……
とろみきった甘い摩擦にがんじがらめにされて、エレンはひたすら早く時間が過ぎることだけを祈った。
だが堪えられそうにない。エレンは必死に訴える。
「頼むから……動かないでくれ……!」
「やぁ……はふぅんっ……止められない……もっと……もっとエレン……エレンがほしい……! ひ、ぁ、くぁぅぅっ……」
――ぱちゅっ、ちゅんっ、ぬちゅんっ、ぱちゅうぅっ……
皮膚同士がぶつかり合う高い音さえ混ざり始めて、エレンはとうとう自重を支えきれなくなった。背中がドアに全体重を預け、はずみで蝶番が軋む。
――ぎしぃっ……!
静まり返ったトイレ内に、その音はよくこだました。
「なんだぁ? 誰かいるのかぁ?」
ぎしっ、ぎしっ、とピストンのペースで悲鳴を上げ続ける蝶番を気にしながら、エレンはなんとかミカサを押し返そうとする。
「やばいって……!」
しかしミカサの強い力に押し返されて、扉に磔にされたまま少しも動くことができない。その間もミカサの腰使いはまったく衰えを見せず、一定のペースで動き続けた。
「でも……これ……すごいぃっ……! エレンが……いっぱいになって……っ!」
――ギシッ、ギッ、ギッ、ギィッ!
「あぁぁん……っ!」
扉の外にいる男が、いぶかしげに声を出す。
「誰かいるのか?」
(やばっ!)
エレンは進退窮まって、とっさにミカサの唇をキスでふさぎにかかる。
「ふんんん……! んふーっ、ふぅーっ!」
ミカサが飢えたようにたっぷりと舌を絡めてきて、舌先にぴりっと甘い快感が走り抜ける。溶け合うような気持ちよさが唇や舌を侵食し、ねぶり、すすりあげる。
――ちゅぅっ……ちゅぱっ……ちゅっ、くちゅっ……
ミカサの肉襞が嬉しげに収縮し、傘から竿にかけてをぎちぎちに食い締める。その快感が継ぎ目の余皮や竿の生肌をどろどろに溶かしつくし、エレンの性感も直線的に高みへ上り詰めていく。
「あぁっ……もう……もちこたえ、られない……はぁっ……エレン……もう、限界だ……」
達成寸前の妖艶な動きでエレンの唇に吸い付き、ミカサは胸を激しく揺らして最後の仕上げにかかる。
その絞りつくそうとする動きにエレンもいよいよ決壊しそうになり、射精の衝動がぞくぞくと背中をかけあがる。
「気のせいかぁ?」
外の男は不思議そうに言い、のんびりと出ていく。
(はやく通り過ぎてくれ……はやく……!)
焦れながら念じても、男の足音はひどくゆっくりと遠ざかっていく。
ひくっと喉が鳴って、ミカサの声が痙攣したように漏れ出しかける。それをエレンが必死になって吸い上げ、より深くに舌を差し込んでいくと、とうとうミカサは肉壷をびくびくっと痙攣させた。
「ん、ん、んんんーっ……!」
悲鳴を封じ込め、エレンはぐちゅぐちゅと舌を交接していく。そのたびにミカサは肩を震わせ、柔襞をこれでもかというほどはげしくわななかせて、長く長く絶頂する。
ミカサはガクガクと体を震わせてイキながらエレンを深く飲み込み、亀頭で子宮口をぐりぐりとにじり尽くす。焼け付くような快感がエレンのものを締め付ける。
「ふっ、ふぁっ、んんんン――ッ!!」
(きっつ……!)
あたたかな襞がぎゅうぎゅうに根元に巻きついたまま激しい収縮を繰り返す。
(やばい、もう、俺も出る)
ドアをきしませないようにと精一杯ふんばっていた足が痙攣し、焦りと耐え切れない快楽がせめぎあう。
激しくしごきあげる襞の感触に、エレンもつられて引き金を引かされた。ぞくん、とひときわ大きな快楽が背骨からかけあがり、とめようもないほどめちゃくちゃに溢れて、エレンの砲身を焼き尽くした。
――びゅくっ、びゅっ、びゅるるっ……
息づまるような緊張感のなかで吐き出しは長く続き、エレンは頭の中を真っ白に焼き尽くされてぐったりとなる。
「んんーっ、っぷはぁーっ! はぁーっ、はぁーっ、え、エレン……」
ミカサは余韻で恍惚としながら、エレンの胸にしなだれかかった。
「キス、すごかった……」
「お、お前がうるさいから仕方なく!」
「エレンの愛が伝わってきた……すごくよかった……」
ミカサはほわほわと地に足つかない甘い口ぶりで感想を述べる。
「……もう好きにしろよ……」
エレンは今度こそ完全に匙を投げた。
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