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    アニメ・ラノベの同人小説倉庫

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    □ 進撃の巨人 □

    進撃の巨人えろSS 吊るされた男

    立体機動がこんがらがったエレンにミカサがご奉仕する話
    ※原作未読、アニメ20話まで視聴

    2013.05.10 「あなたが望むなら、生理現象も処理しよう」まで。
    2013.05.16 「エレン……ひもちいい?」まで。
    2013.07.03 「エレンはミカサと仲良く救護室に」まで。
    2013.07.13 「エレン……興奮しているの?」まで。
    2013.09.22 「そしてミカサは自身の陰部にエレンのものをあてがうと」まで。
    2013.09.23 「ひぁ……♥ せーえきっ♥」まで。ハートマークってどうなんだろう




     巨人があぎとを開けていた。

     黄色い乱杭歯が、磨耗の具合もなまなましくぬめりを帯びていた。数千万の莫大な筋繊維の束が、白と赤の綾をなして顔面を複雑に覆っている。なかでもひときわ大きな表情筋が、耳からあごにかけてぶわりと動き、悪魔のように吊りあがった。咀嚼筋のパワースペクトルが、口をあんぐりとあけさせる方向に収縮していく。

     そうして巨大なあぎとが閉じられるまでの時間など、心臓の一鼓動ほどの長さもなかった。ぞっとするほどの力でやすやすと人体が噛み千切られるさまが、ひどくゆっくりと展開していく。立体機動を繰り、ゼロ距離まで接近するまでの数瞬で、命は奥歯ですりつぶされ、潰えていく。

     エレン・イェーガーは立体機動装置を【直進】から【右迂回】に切り替えつつも、体の制動を目の前の光景から背けることができなかった。戦いの最中にいるときはいつもそうだ。どんなに手を伸ばしても届かないと分かっていて、体がとっさに生きるための回避行動を取っていても、いつも怒りだけが制御できない。怒り、悲しみ、激昂、衝動。焼け焦げるような激情で、目玉が飛び出そうなほど双眸を見開いても、すべてはどうにもならない運命だった。

    「うおぁぁあああああっ!」

     エレンは絶叫した。短慮であると称される自分が猛進しそうになったときの手っ取り早いマインドリセットとして、そうするように万の単位で躾けられてきたから。何も考えなくて済むように。何も聞かなくて済むように。剣を投げ捨て、泣き伏さなくても済むように。
     今しがた巨人ののど仏を鳴らし、無造作に食べこぼされた塊が、かつてはどんな名前を持ち、どんな思いでともに訓練を潜り抜けてきたのかなど、今は省みている場合ではなかった。

    「ああああああっ!」

     その叫びに、巨人の注意がこちらに向いた。体をめぐらせ、右側から回り込もうとするエレンに相対する。巨大な毛細血管をはりめぐらせた眼球が、ぴたりとこちらに焦点を合わせてきている。白痴のような笑みは、彼我の知性がけして交わりをもたないことを予感させ、エレンを総毛だたせた。

     巨人はエレンに向かい、まっすぐ喉を伸ばして、噛み付こうとした。とっさに【左迂回】にワイヤーを切り替え、ふたたび巨人の側面に回る。

     ガキン、と宙に歯を打ち鳴らす巨人に合わせて、さらに右側の木へとワイヤーを飛ばした。左右に激しく飛び回る蚊のようなエレンを疎んじてか、そこでようやく巨人の手が飛んできた。

     エレンは地面にアンカーを打った。がくん、と沈み込む動作に巨人の認知がついてゆかず、愚鈍な手がむなしく宙を打つ。地面へ落下以上のスピードで堕ちていくエレンをつまもうと、巨人はその腰を不恰好に曲げた。

     ここだ。

     エレンはさらに立体機動装置をポイントする。巨人の顔、その額へと。

     すさまじい勢いで巨人の顔面へと飛んでいきながら、全身のバネをつかい、振り子のように上方へ跳ねて、ぐるりと頭頂部を飛び越した。渾身の力で上体を捻り、その脊椎に刃をふりかざす。振り子の運動エネルギーを刃渡りのすべてに乗せ、肩をまわして強打した。

     手ごたえは十分だった。やった、と思った瞬間にはもうアウェイに移るべく手近な樹にワイヤーを飛ばしている。あとは遠くで死を確認するだけだ。

     その油断が命取りだった。

     巨人がうなじをかきむしり、その手がエレンの機動を遮った。斜めのたたき伏せを受けて、機動力の大半が殺される。

     駒のように回転しながらからくも手近な樹にワイヤーを飛ばし、ほとばしる失血に眼前が暗くなりながらも、なんとかどこかの枝に引っかかったところまでで、エレンの記憶は途絶えた。



    ***

     目覚めると、ミカサのやさしい微笑みがあった。

    「エレン。見つけた」

     いつものように必死になって探してくれたのだろう。森はすでに暗く、何度も立体機動装置を使ったあと特有の黒い機械油汚れで頬や手のひらが煤けていた。

    「悪い、俺――」
    「戦闘は初めと最後の数秒が一番死亡率が高いと、何度も言われてきたはず。理由は油断……」
    「分かってるっつーの」

     実際、強い巨人ではなかった。最後に離脱するとき、退路を考えなかったという以外では完璧だったろう。巨人との戦闘では手の可動範囲と、何よりも顎が届く範囲を避けて回り込むことが最優先されるが、逆手を取ることによって最小の機動で殺すことに成功した。

     殺してから気がついたのだ。巨人の手を避けて逃げるためのルートがどこにも見当たらないことに。仲間の援護が期待できない状況で取る戦術じゃないなと改めて思い直した。

    「大丈夫。あなたがどこにいても、私は必ず見つけ出して救う」
    「……」

     そう言って微笑むミカサを、さかさまに吊るされながら見上げるのは、ひどく居心地が悪かった。どうあがいても、エレンはミカサに敵わないのだと思い知らされる。

    「……ずいぶんこんがらがってしまったね」
    「……最後にちょっと油断しちまったんだ」

     気絶の間際、自分の体がくるくる回転していたことを思い出す。ワイヤーを巻き込みつつヨーヨーのように支点へ戻っていった結果だろう。太ももといわず、胴体といわず、何重にもワイヤーが巻きついている。

     足首からさかさまに吊るされた姿は、タロットカードの『吊るされた男』そっくりだ。

    「今、ほどこう……待ってて」

     ミカサは支点のアンカーを抜いて(簡単にやってのけているが、この楔はエレンの全体重を支える強固なものだ)、エレンが縫いとめられている枝の上にエレンをそっと横たえた。

     その手がワイヤーを手繰り寄せ、まずは足首からくるくると紐をまきとっていく。ふくらはぎをたどり、ひざを超え、太ももへと達して、エレンの足を不恰好に開脚させる。

     女のような格好を取らされて、さすがにエレンはうめいた。

    「ば、ばかお前、何すんだよ!」
    「こうしないと取りにくい……」

     ミカサはプレゼントのリボンでも解くような気軽さで、太ももをがんじがらめにするワイヤーをほどいていく。鋼を練りこんだ野太い手綱が、ミカサにかかるとあやとりほどにも頼りなく見える。

     するっ、と、冷たいワイヤーが太ももをこすり、ミカサの荒れた分厚い手のひらが服ごしに這い回る。

     やけに近くにミカサの熱い視線がある。

    (……なんか、これ)

     寝そべったまま、足を開かされて、太ももばかりを撫で回されて、エレンは妙な連想を禁じえなかった。

    「エレン、足を閉じないで」
    「む、無理!」
    「やりにくい……」
    「恥ずかしすぎるだろ!」
    「どうして?」
    「どうしてって、お前……」
    「私は、エレンがどんな姿でも受け止める……」

     太ももを閉じ、ワイヤーを挟み込む形になったせいか、ミカサがやりにくそうに太ももの間に手を通してくる。あたたかい人の体温にくすぐられて、背筋に何か寒気を感じた。硬いワイヤーがぐりぐりと足を擦り、股間を撫でて、絶妙な刺激を伝えてくる。

     止めようとしても遅かった。

    「……エレン、これ」

     ミカサの手のひらがするりとズボンの上をすべり、立体機動装置用のベルトを乗り越えて、股間に到達した。

     服の上から触られて、エレンは耳まで赤くなっていく自分を意識した。

    「ばっ、バカ、変なとこさわんじゃねえよ!」
    「エレン、でも……」
    「せ、生理現象だ! ちょっとしたら収まるから見ないふりしとけ!」

     ミカサは眉根を寄せた。それから血でも吐くようにして、『……分かった』と声を搾り出す。

    「……あなたがそう望むのなら、私は見てみぬふりをしよう」

     そして作業が続けられ、足の付け根のワイヤーが手際よく巻き取られていく。

    「……エレン」
    「なんだよ」

     ミカサの手が慎重に動き、いらない刺激をしないようにと気遣って、ゆっくりももの外周を巡る。

     立ててしまっているのを知られているだけでも身もだえするほど恥ずかしいのに、へたに意識して気を使われるのも、舌を噛み千切りたくなるような羞恥だった。

     気まずい沈黙を破ろうとしてか、ミカサが語りかけてくる。

    「あなたが望まないことは、私はしたくない。……でも」

     黒い髪の白い頬が俯き、唇が恬淡と動く。白くかさつき、ひび割れているのに、唇の裏側だけがてらてらと赤い。顔を伏せてしおらしくしている分には、ミカサは目を見張るような美人だ。いつも近くにいすぎて、意識したことはないが。

    「……もし、あなたが遠慮しているのなら、私は」

     かがみ込んだ胸元の、ぶあついジャケットを押し上げる立体的な服の皺が、こんもりと丸い形を保っている。

    「……私に悪いと思っているのなら、それは違う」
    「……どういうことだよ」

     何を言っているのかは分からないなりに、空気が張り詰めていることだけは分かった。どんな巨人を前にしても眉ひとつ動かさないあのミカサが、こんなに緊張しているところなど、初めてだ。
     
    「エレン、私は、あなたが望むのなら、生理現象だって処理しよう」

     ミカサの瞳は真摯で、この上なく真剣だった。

    「……だから、望んでねーって」
    「………………そう」

     ミカサはごく控えめな声でつぶやくと、感情ごと覆い隠すようにして首のマフラーを引っ張り上げた。

     もくもくと目と顔を伏せ、作業するミカサに、声もなくぼうっと見入る自分がいることを、エレンは否応なく意識した。闇のようにぬめる黒髪が、頭の傾きに応じてさらりと顔の横を前後する。触れればしっとりと柔らかくて気持ちいい、女の繊細な髪質だ。

     ミカサの手がエレンの拘束された足を解放しつくし、腰のもっとも高い位置までせりあがる。

     くいくい、と下敷きにした紐を引っ張られて、エレンはその動作が何を意味するのか瞬時に理解した。ミカサは口数が極端に少なくて、こうして動作で意思を伝えてくることがよくある。

     ワイヤーを巻き取りやすいよう、エレンは少し腰を浮かした。尻の下にミカサの細く冷たい指がぬるりと潜り込んできて、ワイヤーをするすると引っ張りあげる。

    「み、ミカサ、変なところ触るなってっ」
    「……」

     ミカサの東洋人特有の黒く濡れたエキゾチックな瞳が、まっすぐに自分を見つめている。その意味するところはこうだ。『何を恥ずかしがることがあるのか』。ミカサはただ、エレンを助けるために無感情に淡々と作業をしてくれているだけだ。

     エレンは急激に気恥ずかしさがこみ上げてきて、耐え切れなくなるのを感じた。へまをして拘束されている、というだけでも相当に無様なのに、ミカサの悪意のない行動にまで過剰反応して、いったいどこまでみっともないところをさらせば気が済むのか。

     もって一番耐え難いのは、ミカサに触れられると体が反応してしまうことだった。

     よりにもよってミカサ相手に。

     首席のミカサは、筋も腱もエレン以上に頑健だ。鋼板のような腹筋のおうとつに嫉妬こそすれ、女を感じたことなど一度もない。

     妹、あるいは姉に自分の恥部を暴露されているような気分だ。なさけなくて泣きたくなる。

    「……エレン」

     ミカサの手が遠慮がちにエレンの腰を抱く。

     その中央で、もう隠しようもないほどおのれが勃起してしまっているのが分かる。

    「分かっている? エレン……このままでは巨人のいい餌」
    「ああ、そうだろうな……だから早く解いてくれよ」
    「……だめ」
    「……は?」

     ミカサはエレンの腰を抱く手をしゅっと下に這わせていった。腰のベルトの両端にミカサのしなやかな腕がまきつく。鍛え抜かれた筋肉がおどろくほど繊細かつ柔軟に、エレンの皮膚をくすぐっていく。

    「このままではエレンが危険……」

     危険なのはミカサの目の色のほうだった。マフラーで隠されてしまっていて、表情は分からない。けれども、瞳が黒曜石のように艶っぽく潤んでいる。きらきらとやけに光って見えるのは、興奮で瞳孔が開いているからか。

    「私は危険を排除する……」
    「おい、ミカサ!?」

     そしてミカサのよく訓練された指がエレンの立体起動装置をはずしにかかる。規定時間以内に身につけられるよう手順を繰り返してきたその手にかかれば、丸腰にされるまでほとんど時間がかからない。

     ズボンの止め具がはずされ、前あわせのファスナーが下ろされる。

     窮屈な戒めから解き放たれた己の肉棒が、へそを向いて反り返るのが分かった。さきほどから興奮のせいで痛いぐらい張り詰めている。

    「エレン……」

     呟きは恍惚を孕んで、震えていた。

    「エレンのため……そのためなら……私はなんだってできる……エレンの……」

     もはやエレンに向けて聞かせているでもなしに独り言をつぶやき続けながら、ミカサは口元のマフラーを押し下げ、おおきく口を開いた。

     はじめに感じたのは温かさだった。

     湿度の高い吐息が降りかかり、続けて舌の柔らかな濡れた感触がぐぷりと喉の奥まで飲み込むようにしてエレンの肉棒にまとわりついていった。

    「ば、かっ……!」

     背筋にぞくっと電撃が走った。気持ちいい……とけてなくなりそうなほどの心地よさだ。

     ミカサの薄く無情そうな唇が猥雑にまくれあがり、形を変えながらエレンの肉棒をひとのみにする。

     物憂げな表情を浮かべたミカサの頬に、エレンのものが裏から当たって、ぽこりと形が浮かんで消えた。柔らかい頬の粘膜に亀頭を押し付ける感触に、エレンの目の前に火花が飛ぶ。

     零れ落ちるショートボブの髪をかきあげながら、ミカサはその美しい目鼻立ちを上下に揺らして、興奮でいきり立つエレンの肉の筋に刺激を加え始めた。

    「あ、ぐ、うぅっ……!」

     血がたまり、ぱんぱんに張り詰めた肉棒の側面を、ミカサの両のくちびるが這いずって慰めていく。亀頭が信じられないような舌の奥まで飲み込まれ、喉の奥の窄まりにぐぷぐぷと押し当てられた。常人ならえづいてしまうような深度だ。

     たっぷりと銜え込んだまま、ミカサがエレンを気遣って、顔を覗き込んでくる。

    「エレン……ひもちいい?」

     見上げてくるミカサの瞳は、透徹していた。母猫が子猫の排泄物を舐めて処理しようとすれば、こんな風に慈愛に満ちた瞳をするかもしれない。

     その献身に、得体の知れない屈辱がこみあげる。

    「馬鹿……っ! やめろって……!」

     制止の声もむなしく、ミカサはそそり立ったものを喉奥まで必死に飲み込んでいく。

     ミカサは膝をつき、両手を使って、四つんばいになりながら、ギリギリまで引き抜いた肉柄を、にゅるん、と一気に受け入れた。重たく濡れた水音がし、ミカサの端正な顔が馬のように形を変える。

     突き抜けるような甘さが下腹部からこみ上げた。だが、ここはウォール・マリアの壁の中だ。巨人がいつやってくるとも限らない。しかも自分は手足が使えず、立体起動装置も外されてしまっている。巨人に見つかればミカサだって危ない。

     死。こんなところで。何も為し得ていないのに。焦りと不安と恐怖と、それにいや増すミカサへの怒りが、エレンの脳内を沸き立たせる。わななく手足は、興奮の度合いを物語っていた。

    「んじゅっ……んぐっ……ぅあむっ……」

     ミカサは鈴口にちろちろと舌を差し入れつつ、カリ首の根元を粘液まみれにしながら唇でしごいてきた。同時に頬をきゅっとすぼめて、先端の丸みを余すところなく包み込む。

     じゅっ、と唾液まじりに啜られるたびに、腰が溶かされそうなほどの衝撃を受けた。甘い感覚に体が弛緩し、先走りがわずかに漏れ出していく。その快楽、その高揚。

     危険に置かれているという焦りだけが上滑りし、脳内が薄桃色一色に塗りつぶされかける。

     こんな時だというのに、なぜかエレンは通常ではあり得ないほど昂ぶっていた。理屈はよっぱらいの猥談中に聞いたことはある。兵士は死が近くなると、なぜか皆決まって性欲が爆発的に高まるのだという。種を残さんとする生存本能がそうさせるのだと。

     恐怖と甘美感がないまぜになる感覚に、エレンは暴力的な、それこそ麻薬といってもいいほどの強制力を見出した。とろりと目の前が溶け崩れ、一瞬、自分がどこで何をしているのかも忘れそうになる。ただただ、気持ちいい。

     こんな快感には、到底抗えない。

    「……くそっ! やめろ! 離せえぇぇっ!」

     自分の意思が快楽の前にあっさりと折られ、敗北するのがあまりにも恐ろしく、エレンは子どものように喚いた。自由にならない手足を精一杯動かし、ミカサを引き剥がそうと試みる。

     暴れ、腰をひねろうとしたのが災いした。

     エレンの肉茎はミカサの喉の奥、窄まりのところまで一気に突き入れられた。ぐびゅ、と舌の奥まで一瞬にして滑る感触があり、

    「んぶうぅぅっ! う、が、あぁっ……!」

     ミカサが苦悶の涙を零すのと引き換えに、エレンの亀頭は痛いほどの抱圧を得た。狭い粘膜をごぷりとこじ開ける感触がエレンを揺るがす。

     情けないことに、女のように声が出た。

     ダイレクトに精嚢から何もかもを搾り出すような、強烈な一撃だった。

    「けほっ、けほっ、けほっ……エレン、今のはよかったの?」

     ミカサが咳き込みながら尋ねてくる。

    「口の中で、大きくなった……とても大きい……咥えきれないほど……でもそれは一瞬だった……」
    「……!」

     確かによかった。その状態で数度こすられたらそのまま達していただろう。だが認めたくはなかった。

    「三分……」

     ミカサが淡々と話を続ける。

    「息ができなくなる……だからそれが限界……その間に……」

     ――私の喉に、注いで。

     ミカサは必要なことだけを朴訥に告げ終えると、両手を使って竿全体をしゅにしゅにとしごきあげながら、大きく口を開いた。

     ミカサの頬が受け入れたエレンのものを吸圧するように変形し、陰毛に埋もれた根元のさらに先の皮膚まで、まるごと口の中に飲み込んでいった。

     途中、喉の奥の窄まりに行き当たり、そこにみちりと密着した。それだけでも溶けそうなほどよかったが、さらにその奥をこじ開けるようにして、少しずつ狭い咽喉部に先端が埋まっていく。

     えづくようにミカサの体が震え、喉の奥が痙攣した。その吸い付くようなしごきあげに、エレンの目の前に火花が散る。

     そしてぬっ、ぬっ、ぬっ、と小刻みな律動が始まる。

     ものの数秒と経たないうちに、尋常じゃない規模の波が背骨に押し寄せた。

     巨人を何匹殺してもさほどの痛痒も見せないミカサが、苦しげにえづきながら何度も頭を振り、エレンに舌先で尽くしてくる。到底受け入れられない行為だったが、ミカサのその顔は悪くなかった。男の精を乞い求め、自身も興奮しているのが伺える、淫猥な女の顔だった。

     ミカサが示した限界、その三分も持ちこたえられなかった。

     どくん、と血液の脈動がし、射精感が背筋からぞわぞわと這い上がってくる。血潮よりも濃厚な粘液が尿道を焼きながらかけあがってくる。

     どくん、とさらに体が痙攣し、びゅるっ、と、勢いよく迸ったのが分かった。ミカサの喉の奥を叩き破るようにして、だくっ、だくっ、と大量の精液が放出されていく。

    「ぐっ……ぐぷっ……ごくっ……じゅっ……じゅちゅるるっ……」

     ミカサはきつく唇を閉じながら、舌の腹で排出を促すようにしごきあげつつ、すべてを飲み込んでいった。

    「ふぐっ、ぐぅっ、うくうぅっ……!」

     喉奥からあふれて唇の端から垂れる液体をぬぐうこともしないまま、ミカサは一心に射出を終えたものを舌でまさぐり、一滴残さず搾りつくそうとした。その奉仕に、エレンは永遠かとも思うほど長く絶頂の余韻を味わった。



    ***


     帰還後、数日間。

    「エレン」

    「エレン?」

    「エレン! 聞こえている?」

     いつもの調子でミカサが呼び止めるのを、エレンはことごとく無視した。

    「……エレン?」

     ミカサのかなしげな声がする。だが、聞こえないふりをした。

    「……………………エレン……」
    「え、エレン、ミカサが呼んでるよ?」
    「……知らねー」

     幼馴染のアルミンが気遣って仲を取り持とうとすることも一度や二度ではなかったが、それもエレンは避けて過ごした。

     合わせる顔がなかった。

     結局無事に帰還できたのも、すべてミカサのおかげだ。ミカサが母か姉のように先々の巨人を駆逐しつつ、エレンを壁の内側まで導いた。

     おまけにあんな風に下半身を暴かれた。

     いまのエレンには、無理やり乱暴をされた生娘の気持ちが分かるような気さえした。とにかくみじめな気持ちが残り、屈服させられたという屈辱だけが後味悪くエレンの胸を塞いだ。


    ***


    「エレン!」

     対人格闘の相手を探していたら、運悪く真っ先にエレンに向かってきたミカサに腕を掴まれた。

    「……よろしくお願いしマス」

     他人行儀に試合を申し込む旨を述べる。

    「エレン……どうして無視をするの。私は悪いことをした?」

     ミカサが泣きそうになっている。周囲で――特にアルミンが、二人のやりとりを伺っている気配もした。

     構えも取らず、隙だらけのミカサに足払いをかける。アニ直伝の、一撃で相手を無力化するための、渾身の蹴りだ。

     ミカサは野良猫よりもすばやく斜め前に跳び、なぜかエレンに反撃することもなく、そのまますとん、と着地した。それだけで、エレンはこの試合既に敗北していることを悟った。ミカサの脚力と判断力があれば、エレンの攻撃にカウンターを当てることもできただろう。脛で受けられれば、エレンの足は骨折していた。

    「……あの時のことを怒っているのなら、謝ろう。でも、ああするしかなかった……」

    「そうだな」

     ミカサは正しい。常にエレンの戦闘力を上回り、エレンが見えてもいないような先の手までを読んで動く。

    「エレン……私はどうすればいい? どう償えばいい……」

     ミカサはエレンのことなどまったく脅威だと感じていないかのそぶりで、エレンにあわれっぽく慈悲を乞う。この試合で不利なのはエレンのほうだし、事実すでに敗北しているようなものだ。

     これまでミカサを抑え、対人格闘の成績で1位になれていたのも、ミカサに勝つ意思がないからではないのか。そんな不安が頭を過ぎる。手を抜かれているのかもしれない。それがエレンのためになるのだと思えば、ミカサは喜んで成績を譲るだろう。

    「エレン……助けて。寒い……」

     すがりつく声を無視し、右からのジャブを打ち出した。


     結局、そのジャブが避けようともしないミカサの腹部にクリーンヒットし、ミカサは倒れた。

     担架で運ばれていくミカサを無気力に見送っていたところを、ジャンにしたたか殴られたところまでは覚えている。


    ***

     目を覚ましたとき、エレンはミカサと仲良く救護室に並べて寝かされていた。

     頭痛をこらえながら身を起こす。シミだらけの毛布が、体の上にぞんざいにかぶせられていた。一応はよく洗われ、シミ抜きを施されているので、清潔そうではあったが、煮沸消毒までされているのかは不明だ。

     医者の息子であるエレンの目から見て、内地の医療水準はけして高くはない。設備も、ほんの軽い外傷に対応する程度のものしか揃っていない印象だ。もっとも、仕方がないとも言える。巨人に食われれば、あとは死ぬしかないのだから。狭い国土内、健常な働き手の食い扶持にも困る有様なのに、重傷患者を手間隙かけて治療する余裕は、この国にはない。

     隣にミカサもいた。簡素なベッドのただ寝かされただけ、といった体だ。無防備な顔を晒しながら、すやすやと寝入っていた。

     うすく開かれたゆるい口元が、エレン、と寝言をつむぐ。

     どきりと心臓が跳ねた。

     壁外演習の日から数日しか経っていないのに、何年も前のことだったようにも思える。あの艶を帯びた流麗なリップラインのくちびるが、エレンの下半身を捉えて舐めしゃぶったのだ。あるいは夢だったのかもしれない。

     いまいましいことに、ひどくよかったのだ。死と隣り合わせの状況で、あんな馬鹿馬鹿しくくだらない、それこそ一人寝の妄想のようなことを思いもかけずしてもらって、ラッキーだと感じないでもなかった。

     同時に自己嫌悪で一杯になった。理想論ばかりを口にし、巨人など取るに足らないとさんざん嘯きながら、ミカサになにひとつ敵わず、巨人一匹まともに倒すこともできない。

     ミカサはそんな自分を笑いものにさえせず、あっさりと実力の差を見せ付けていった。ミカサにとっての己は、悔しいとか、負けたくないだとか、その手の争う気持ちを喚起されないほどの雑魚なのだ。

     だから、エレンのジャブを避けようともしなかった。どうせ食らってもたかがしれていると思われていたのだ。エレン程度の技では自分を傷つけられるはずがないと。

     プライドをくじかれるのがどれほど悔しいか、ミカサには永遠に理解できないだろう。こいつは何をやらせてもそつがなく、それを誇ることもしない。

     いつまで経っても、どこまで行ってもエレンの独り相撲だ。

     ミカサの度を越した保護者ぶりについては、今までにもさんざん他人から揶揄されてきた。女の子なんだからエレンが守ってやるように、だとか、お前はいいよな、巨人が来てもミカサが助けてくれそうだもんな、だとか。本当にうんざりする。

    「ううん……」

     ミカサが眉間にしわを寄せながら寝返りを打つ。

     ぞんざいにひっかぶせられた毛布がはだけた。

     裸のなめらかな肩が丸く縮まり、寒そうに毛布を引き寄せる。

     エレンは目に飛び込んできた光景に、硬直した。

     オリエンタルな黒い髪を枕に預け、眠るミカサの顔は、ようやく成人のきざはしを上り始めたばかりの、あどけない造作をしていた。

     冷ややかに主席としての務めを果たす黒い瞳が、夢見るようにそっと閉じられている。髪と同じ色の、光沢ある黒い睫が、日の光を浴びて輝いていた。

     いつもとなんら変わらぬミカサだが、首から下がひどかった。ほとんど身包みはがされたといってもいいぐらいの有様だった。

     まずジャケットがない。寝心地が悪いだろうし、これぐらいは脱がせて当然だろう。さらにワイシャツがない。これもシワになるだろうし、腹部の様子を診るのには邪魔だ。下着がないのも、まだ頷ける。腹部にかかるほど長いチュニックタイプのものなら、ワイシャツと一緒に脱がせてしまったほうがいい。

     ところが、立体起動用のタイトなベルト一式が、そっくりそのまま残されていた。よくなめした硬い革が、鎖骨から胸部にかけてを複雑に縛り上げ、やわらかそうな脂肪を圧迫を以って強調し、女らしさを一層見せ付ける。

     ミカサの上半身は少女特有の優美さを持っていた。大胸筋を彷彿とさせる逞しい胸郭の上に、きれいな乳房が、柔らかげな曲線を描いて乗っている。てっぺんを彩る乳首の赤さが、甘酸っぱい果実を思わせた。

     その下に続く、きっちりと切れ目の入った六つの腹筋さえ見えていなければ、の話ではあったが。

    (なんでこんな格好で寝てるんだ)

     まったく分からない。立体起動用の強固なベルトが、これではまるで特殊な奴隷用の拘束具のようだ。

     どう考えても寝るのに相応しい格好ではない。圧迫された皮膚に、赤い痕が痛々しく残っている。

     白い肌、鎖骨から下にゆるやかな隆起を形作る甘い胸の丸みにもベルトが食い込み、深い谷間と、くっきりした乳の袋が作られている。

    「……エレン?」

     声をかけられて、心臓が止まるかというほど驚いた。自分でも知らずに見つめてしまっていた胸の辺りから無理やり視線をもぎはなし、裏返った声で返事をする。

    「おっ、起きてたのか!?」
    「……寝ていた」
    「お、俺は見てない! 見てないからな!」
    「……?」

     ミカサが寝ぼけまなこで自分の胸もとを見やり、小さく悲鳴をあげた。

    「……エレンが私を裸に」
    「違う! 俺じゃない!!」
    「恥ずかしがらなくても」
    「信じてくれよ!!」

     ミカサはハッとしてシーツの奥、自分の下半身を覗き見た。上半身を食い締めるベルトが腹のベルトにジョイントしているところまではちらちらとシーツのすきまから見えてはいる。だが、その奥のズボンはどうなっているのだろう。

    「……ズボンも……エレン、寝ている間にこんな……」
    「だから俺じゃないっつーの!!」
    「そんなに見たいなら、直接言ってくれればいいのに……」

     ミカサは頬を染めながら、するっと掛け布を剥いでしまった。

    「バカ! 服を着ろーーーっ!」

     シーツが払われ、現れたのは、たこ糸のようにがっちりと食い締めるベルトに覆われた、むっちりめの太ももだった。何ものにも覆われていないすっきりとしたへそから下があますところなく晒される。足のはざまにひかえめなうぶ毛が茂っているのでさえ、はっきり見分けられた。

    「ありがとう……見舞いにきてくれて。エレンはいつも優しい」

     殴り倒した張本人に向かって、ミカサは盲目的に喜びを口にする。これで、エレンも怒り狂ったジャンに殴り倒されたのだとは口が裂けてもいえなくなった。

     必死に目を逸らすエレンの視界の端で、ミカサが動いた。

     自分のベッドから音もなく降りて、エレンの方に足を掛け、慌てるエレンの毛布の隙間に、するりと猫のように潜り込む。

     ミカサの暖かい肌がエレンの衣服の上を滑り、きゅっとすがりついてきた。

    「く、くるな! 馬鹿! あっち行け!」

     エレンはたまらず、まとわりつくミカサを袖にして、ベッドの隅に逃げる。

    「……まだ怒っているの」

     ミカサは裸の胸を隠そうともせず、まっすぐにエレンの方を向く。エレンに近づこうとして、むきだしの敵意に阻まれ、しょげて手を下げた。

    「エレンが怒っている理由はわかっている……」

     たどたどしいといってもいいぐらいの語彙で、必死に語りかけてくる。

    「あの時はああするしかなかった。
     ……エレンに、一方的に恥をかかせた」

    「ミカサ……」

    「……だから、私も恥は捨てる」

     一瞬、ほんの一瞬だけ、こいつにも人並みの感性があったのかと感心しかけたエレンは、すぐにそれが勘違いだったと悟った。

    「私はもう、エレンの家族なんかじゃない」

     ミカサは邪魔なシーツをわきにどけると、エレンの目の前で胸を持ち上げてみせた。たふ……っと、上下から縄で締め上げられた扁平つぶれの脂肪が揺れ、蕾のように赤く色づいた乳首がぷっくりとつややかに身持ちを硬くする。

    「私はエレンの……召使い」

     脚を広げ、革と金具で拘束された太ももの奥を晒してみせた。中央で閉じられている皺がちな陰唇を、ミカサの指がくちゅりと拡げる。

     刺激がすこし強かったのか、ぴくんとミカサの体が揺れ、大きく胸が上下する。

    「エレンにこんな格好をさせられて……私は喜んでいる」
    「お、俺じゃない! 気づいたらこうなってたんだ!」
    「言わなくても分かっている……エレンは恥ずかしい、だから、とても怒っている。私はもう、エレンだけに恥をかかせない。
     この姿は、私の望み」

     わけのわからない自己完結をもとに、ミカサの告白は続く。

    「あの日、エレンが私の口で果てた時から、ずっと疼きがとまらない。またあんな風にエレンが見境を失くしたらどうしようと……、いや、失くせばいい、と願っていた」

     ほころび、蜜を垂れ流す小さな割れ目を、ミカサの指が荒っぽくこじ開ける。うすべに色のしわ襞が、くなり、と伸びて内側をさらけ出し、しとどに濡れた肉襞がミカサの指を受け入れ、ひくひくと勝手に蠕動する。

    「ふぅっ、ぅっ、くぅっ……」

     その光景に、本能が強い警鐘を鳴らした。

     ダメだ。

     ずっと見ていたら、間違いなくやられる。ミカサにつられて己を見失ってしまう。そしてまたあの時のように、ミカサのいいように――

    「お、おい! ちょっと落ち着けって!」
    「私は落ち着いている」
    「どこがだよ! こんなのおかしいだろ!」
    「おかしくはない。エレンは私を好きにしていい」
    「しねぇよ! 俺たち家族だろ!? こんなのおかしいって!」
    「家族でこうするのがおかしいなら、私はエレンの家族でなくてもいい。……メス豚で、いい」
    「いい加減にしろ! 訳わかんねぇよ!」

    「いけないことなのは分かっている……淫らなことなのも。でも、我慢できない……体を道具のように使われて、辱めればいいのに……辱められたい……辱めろ……?」

     語彙が足りないのも相変わらずだ。

    「エレンの思うようにされたい……何度でも、いつまででも。
     殺されたっていい。……エレンになら」

     目の色を暗く妖しげに光らせながら、ミカサがエレンの手首をつかむ。振り払おうとしても、興奮したミカサに力で敵うわけはなかった。

     ミカサはエレンの手を半ば強引にひねりあげながら、その手のひらを胸に触れさせた。

     革のはざまでとっぷりと重力方向に垂れ下がっている乳肌に指先を滑らせ、ぐいっと指の腹に食い込ませる。

    「はぅんっ……」

     ミカサはエレンの指に自分の指を重ねた。がしがしと強引にもみしだかれた胸が、ゼリーのように頼りなく形を変え、ぽってりと厚みを増したピンク色の乳首が、手のひらにすれて硬さを増す。

     革の食い込みに指を挟み、隙間を作れば、美しい肌が赤い痕をくっきりとつけているのが見えた。

     指を離すと、パチン、と音を立ててもとに戻る革が、ぶるん、と胸を揺らし、さざなみのように白い乳肉が震えた。

     胸を揉ませられていた手が離れ、代わりにミカサがずいと距離を詰めてくる。隅に追い詰められたエレンは、なす術もなくミカサに腕を絡まれる。

    「エレン……興奮しているの?」
    「ばっ……してねぇ!」
    「でも……息、あがってる……」
    「おっ、おまえが訳わかんねぇことばっかりするから……っ!」

     救護室の薬品臭とともに、ミカサの甘い香りがする。

    「エレン……」

     ミカサの手が滑り、エレンの下半身にかかる。ベルトも外され、簡素なズボン一枚になった足の付け根を、ミカサの指がたくみに撫でさすった。

     ヤバい、だとか、マズい、という気持ちだけが空回りする。

     抑えようとどんなに唇を噛み締めても、勃起は止められなかった。

    「硬くなってる……こんなに」

     ミカサがうっとりと空ろな瞳を向けながら、夢中になってズボンを脱がしていく。

    「やめろ……馬鹿、ほんとに、やめろってっ……!」

     ミカサの手を振りほどきたいと思うのに、亀頭のせりだしを指先で甘くくすぐられると、腰が砕けたようになってしまい、声が喉に張りついて出なくなるのだ。

    「やめない。私は終わり……終わりが近い……限界だ」

     ミカサは片手でエレンをくにくにと刺激しながら、もう片方の手でエレンの肩を強く押した。エレンはバランスを崩し、ベッドの上に倒れこむ。

     乳の柔塊がエレンのシャツの上に押し付けられ、ミカサのデコルテにY字の深い谷間を作った。

    「自分でも止められない……いつもエレンのことばかり……考えている……ふ、くぅっ……」

     ミカサは押し倒す形でエレンの上にぴったりと上半身を寄り添わせる。艶かしいラインを描く尻が生き物のように蠕動し、エレンの足にすりつけられて、粘性のにちゃぁ……っとした感触がズボンを汚す。

     セルフで割れ目をエレンに押し付け、腰をくねらせるさまは盛りのついた犬のようだ。

    「毎日、毎晩、私はエレンのことを考える……いつも、エレンに触られることを考えて……それで……こんなになっていた」

     ミカサが体を濡らし、乳首を尖らせて劣情の兆候もあらわに体を摺り寄せてくる。硬いはずのふくらはぎを甘い情欲でくったりと弛緩させ、肩をくねらせて胸を押し付けてくる姿は、十分な昂ぶりを連想させた。

     ミカサはエレンのマウントを取ったまま、その耳元に息を吹きかける。声と濡れた吐息と絡みつく舌で刺激され、エレンの耳は焼けるように熱くなった。

     ずくん、と下半身に衝撃が走る。痛いというよりも、張り詰めすぎて苦しいという方が近い。

    「エレンをこうして……慰められて、私は嬉しい。とても……嬉しい。だから……精一杯、やる」

    「いい加減にしろ……そんなこと頼んでねぇ!」

     エレンは強く否定するが、まったく声が大きくならない。ミカサの盛りきった妖しい姿に当てられてしまっていた。

     厳しい訓練と戒律で満足に睡眠時間も取れない兵舎暮らしなのだ。性欲なんて今まで自分に備わっていることも忘れていた。正確には強引に押さえつけて見ないふりをしていただけで、衝動はずっとエレンの中にもくすぶっていたのだが、ことここに至ってそれを引きずり出されそうになっている。

    「怖いの? エレン……大丈夫……痛くはしない。きっと満足してもらえる……するまで頑張る」

     ミカサは見当外れな景気づけを言いながら、エレンにキスをした。やさしく唇を押し付けて、そっと下唇をくわえる。壊れ物のようにそっと唇の表面を撫でられて、エレンは目の前が遠くなりかけた。

     自分にも両手があって、それを使ってミカサを押しのければいいだけだという事実など、どこかに飛んでしまっていた。ミカサの愛撫はエレンの雄としての本能だけをむき出しにするようでいながら、その実、身をゆだねたくなるぐらい慈愛に満ちていた。

    「ありがとう、エレン……私を受け入れてくれて。いつも考えていたことが本当になって……蕩けそう」

     情欲と安堵と危機感とでごちゃごちゃになる自分の脳みそに、もうひとつの感情が加わる。

     ミカサは本当にエレンを好いてくれているのだと思う。異常な執着や狂気とも思えるほどの過保護ぶりを見るにつけ、かなりねじくれてはいるし、その屈折がエレンには堪らなく嫌なのではあるが。

     こんなに嬉しそうに頬を染めて、崇拝しきった瞳を向けられ、甘い肉欲へ誘われている状態で、エレンが拒んでしまったら、ミカサはどうなるのだろう。

     深く傷つくのではないか。独りよがりで暴走し、女なら誰でも秘密にしておきたいと思うようなあからさまな欲まじりの慕情をぶつけているミカサを拒むのは、男として卑怯きわまりない行為であるような気がした。

     ここでエレンがミカサを捻り上げて拒絶すれば、舞い上がってしまった分だけ、ミカサは自分を責めるだろう。

     ミカサの気持ちは重すぎる。とうてい受け取れない。
     だが、だからといって傷つけることも本意ではないのだ。

     そして血液さえ沸騰させそうなほど滾る渇望だ。これがエレンを支配していて、おかげでものを考えるのがつらいほど頭はぼうっとしているし、さっきから腰のあたりがむずがゆくてたまらない。

     ミカサの手の動きは相変わらず続いていた。ぎこちない愛撫がエレンを中途半端に刺激し、硬くなる一方なのに、なかなか出そうなほどの決定的な快感がやってこない。

    「エレン……エレンは少し華奢だ……でも……ここはすごく逞しい……初めて見たときから、欲しいと思っていた……」

     指先が輪を作り、竿の半ばから下の方をきゅっと絞ってはシェイクしていく。上下にしごきあげられる快感が神経を焼いた。

     同時にミカサがあむ……っと首筋に噛み付いてくる。温かい舌に湿されて、胸の内側に不思議な疼痛が生まれた。

     ミカサは指を解いた。人差し指と中指で、つついたら破裂しそうなほど張った竿の血管を押さえつける。くりゅくりゅと血管が潰されながら、指先が上までのぼりつめ、傘のせり出しをくすぐった。

     薄皮を吊る筋を人差し指でくるくると円を描くように撫でるのを繰り返しては、くにくにと根元の皮をこすりあげ、つるつるの玉のような先端を手のひらで包み込む。

     その動きはまるで素人で、ミカサはあきらかに初心者だった。どう扱ったらいいのか、よく分かっていないようだった。

     その事実に奇妙な安堵感を覚える反面、もどかしさに気が狂いそうになる。

    「は……っ、あっ……」
    「エレン……気持ちいい?」

     違う。もどかしい。手を円筒形にして、上下にこすり上げられたい。敏感な皮の合わせ目ばかりをぎこちない手つきで弄ばれていては、出るものも出ない。ぼんやりした灼熱の頭でそんなことを考える。

     エレンの思考は自分でも気づかないうちに、ミカサを振り切ることから、無事に射精することにシフトしていた。

    「エレン……私はもう……限界だ……もう、耐えられない……エレンが、欲しい……はやく……私のなかに来て……入れて……」

     ミカサがぐるぐると言葉足らずな愛を囁いていたかと思うと、ずるっ、とエレンの上を移動し、腰をエレンのそれに合わせてきた。

    「ひとつになろう……? エレン……」

     ミカサは淫欲のあまり暴走しているようだった。
     エレンはもはや、制止の言葉も出てこない。

     そしてミカサは自身の陰部にエレンのものをあてがうと、ゆっくり中に挿入していった。


    「……くぅっ……!」

     股間の赤く充血した花がエレンを銜え込む。少しずつ下がる淫らな割れ目が、痺れるほど心地良い感触をぐちゅぐちゅとまとわりつかせてきて、エレンは声を殺してうめいた。

     ミカサも膝で自身の体重を支えながら、ひどく辛そうに腰を沈めていく。苦悶と恍惚の入り乱れた声で、ミカサは狂ったようにささやき続ける。

    「エレン……エレンんっ……あつ、くて……硬い……すごく……硬いぃっ……! は、りさけ、そうっ……!」

     ミカサは不自然な体勢でつっかえつつ、長い息を吐いた。亀頭だけが中に潜り込んだ中途半端な状態で、ミカサがこちらを見つめてくる。その目は潤んでいて、今にも泣き出しそうだった。

    「エレン……いま、するから……全部、飲み込むから……わたし、は、エレンのためなら……ンンッ……く、うぅぅっ……!」

     ミカサがさらに腰を落とすと、ズルンッ! と、奥まで突き抜けた。べっとりと重く濡れた粘膜に一気にこすりたてられて、エレンは肺から空気を全部搾り出されてしまう。

    「かっ……はっ……」

     脳天がかち割られそうな甘い衝撃が襲ってきて、なぜだか体が震えてくる。ぶるぶると太ももの側面や腹筋が小刻みに動き、腰を動かしたくてたまらなくなる。

     ミカサはぺたんとエレンの上に座り込んだまま、はーっ、はーっ、と息を荒げていた。前かがみになったミカサの大きく重そうな淫乳と、ふとももの付け根、桃のようにざっくりと割られた赤い襞が、エレンのものを根元まで受け入れているのが一度に見える。

     ミカサはどろりと濁った目で、頬を異様に高潮させながら、エレンの首に手を巻きつけ、唇を重ね合わせてきた。

    「あぅ……す、ごい……エレンを……感じる……いっぱい広がってっ……気持ちのいいところに……かするっ……」

     ミカサは焦点も呂律も怪しくなりながらも、声だけはしっかりしていた。落ち着いた甘い声が盛んにエレンの名を呼び、内耳にまで染み渡っていく。

     ぎちっ、みちっ、と、ミカサががっちりと食い込んだ杭を揺らして尻を持ち上げた。

    「ああっ、あくぅっ、う、うごけないよ、エレン、いっぱいすぎてぇっ……んっ、あぁっ、あっ」

     ぬろ……っとエレンの敏感すぎる表皮を、ミカサの柔襞が食い締めつつも上へと抜けていき、亀頭の境目を刺激する。ぬぽっ、と、抜けそうなほど引き抜かれた先端が、再びじゅぷっとくぐもった音を立てて銜え込まれていく。

     ……ぐじゅっ、じゅっ、じゅぷんっ……

    「ひっ、はぁんっ、あぁっ……エレン、が、奥、まで、届いてっ……入り口のところ、もっ……ぐちゅぐちゅしてっ、気持ち、いいっ……」

     ミカサが腕立てから崩れ落ちたような格好で背を仰け反らせながらエレンの方へと倒れこみ、エレンの胸板に胸をムニュムニュと押し付けてくる。

     ボリュームのある乳房がパンパンに張った赤い突起をエレンのほうへ突き出しながら、ふるふると頼りなくさざなみを立てた。

     ミカサは止められないといった様子でぐずぐずと腰を淫猥にゆすりたてながら、腕の力でなんとか上体を持ち上げた。

     そのまま、胸をぶるん、と揺らし、大きく上下にストロークする。

    「エレン、き、気持ちいいっ? ねえ、エレン、ちゃんと、感じて、る?」
    「そんなこと、わざわざ聞くなよっ……!」
    「エレン、だめ、私はエレンを満足させるっ……! そのために、エレンの、しつけが、いるっ……」
    「しつけって……っ」
    「ダメなら、叱ってっ……好きにしていい……レイプだって……エレンがそうしたいならっ……」
    「しねーよ、そんなことっ!」
    「じゃあっ、飴がほしい……! いい子にしていたら……っ! ご褒美をくれないとっ……!」

     ミカサは立体起動用のベルトでむっちりと縛り上げたおっぱいをエレンの視界でたぷたぷと跳ねさせながら、感極まったように告げる。

    「私はっ、エレンのドレイだからっ……! 雌犬には、しつけが必要……だから……!」

     エレンはもうまともに働かない極彩色の頭のなかで、今日何度目かの脱力感を覚えた。15歳の少女が口にするには突飛すぎる、特殊な性癖のプレイを求めてこられている、気がする。

    「おまえ、何言ってるんだよ……! 
    訓練のしすぎでおかしくなっちまったのか?」

    「私はいつもどおり……おかしくなったのはエレンの方。
    今までのエレンなら、私を殴ってでも、こんな行為はとめていた……」

    「そ、それはそうかも……しれんが……」

     考えてみれば、ミカサはだいたいいつもこんな感じだった。自分のことをエレンを守る姉か、さもなくば絶対の忠誠を誓った犬のように考えている節がある。

     だから、以前からこうなる予感はあった。それでもエレンはミカサを、家族のままにしておきたかった。

     ミカサが動物のように腰を振り、髪を乱してよがり狂っているなんて、不思議な光景だ。もっと不思議なのは、ミカサが誰か別人のように見えることだった。ダイレクトに精嚢を刺激するような痴態と、ふだんのミカサの態度がどうしても繋がらない。

    (……何で俺、ミカサとヤッてるんだろうな……)

     気持ちが冷めていくのに、下腹部が限界ぎりぎりまで膨張し、脳の配線をことごとく焼ききるような火花が視界をくらませる。

     ……ずっ、ずぷっ、ぬぷぅっ……

     ねっとりと熱い襞道がエレンの剛直を蹂躙し、甘美な圧迫がエレンの思考を蝕んでいく。蜜漬けにでもされたのかと思うほど亀頭に甘い快感が絡みつき、欲で頭の中がぱんぱんに膨れ上がる。

     竿をねぶっては抜き差しを繰り返す、芳醇な下口の、その甘皮の先端に、赤い血豆がぷくりとそそりたっていた。

     ミカサはそこをエレンの恥骨にすりつけるようにしながら、滑らかな動きでぬっ、ちゅっ、くちゅっ、と、抽送を続けている。

     鮮紅色の血豆をすりつぶすたび、ミカサは顎を反らしながら甘い声で鳴いた。

    「ふぁんっ、あぁっ、はぁんっ……エレン、エレンの好きなようにしてほしい……嫌なら罵って……この変態、って……お前なんかもう家族でもなんでもないって……!
     さもなければ私を見て……エレンとこうして繋がれて……私は喜んでる……涎が出そう……こんなの、ふつうじゃない……見つかったら懲罰では済まない……なのに……感じてぇっ、しまうぅっ……!」

     ベルトで複雑に拘束された裸体をくねらせ、語彙の足らない舌で不器用に痴語を口にする。
     嘘が下手で、思いをそのまま伝えることはもっと下手なミカサが、それでも一生懸命に話す姿は、いっそいじらしいほどだった。

    「エレンと一緒にいられるのなら……私は……くぅんっ!
     喜んで、堕ちる……から……はぁっ、はーっ、あぁっ……!」

     ミカサは不自由な体勢にぎちぎちと革の拘束ベルトを食い込ませながら、強調された柔肌をゆすり立てていく。

    「何でもする……何でも……私は……エレンの望みはっ……! くぅーっ、うぅ、はぁぅっ、あはぁんっ!」」

     どろどろに粘液を吐きこぼすミカサの柔襞が、激しい動きの度にきゅうきゅうとひくつきを繰り返す。

     エレンの剛直を全部飲み込むごとに、窮屈なほど締め付けてきて、抜けないのではないかというほど肉棒にからみついてくる。

     竿の根元が淫液の吹き溜まりにぶつかってぱちゅっ、ぱちゅっ、とリズミカルに音を立て、温かい花びらの突端がますますいきり立つようにふくらみを増す。

    「私が全部叶え……る、からっ……! エレン、エレンッ……!」

     ミカサが歯を食いしばり、後ろ手についた腕の力さえ使って荒々しい律動を続けていく。

    「エレン、大好き……ずっと……そばにいて……
    私を側に置いて……あなたは私が守る……飢えからも、寒さからも、巨人からも……何もかもから……私は……エレンを……」

     ミカサはベルトでハムのように縛り上げられた長い太ももを小刻みに震わせながらじゅぷじゅぷと腰をグラインドさせる。その直接的な刺激が腹の底から尿道にかけて痺れるような快感を催させる。

    「エレンんん……っ! あっあっああァ……! エレンのが大きくなってるぅっ……! 当たる、すごく、いいところに、当たる、エレンに奥を突かれて、感じてしまうぅっ……!」

     ミカサの声が裏返り、赤い跡つきのベルトで固めたいやらしい媚態が乳の釣鐘をたぷたぷと激しく揺らしながら、びくんびくんと痙攣しはじめる。

    「もう、耐えられないっ……! いく……! 行ってしまうぅっ……! エレン、エレンのすべてがほしい、だから、エレンの子種をっ、私に……!」

     ガクガクと体を揺すぶりながら、壊れた玩具のようにミカサが腰を使う。絶頂寸前の襞道はふにゃふにゃに溶けきっていて、ねっとりとどこまでもまとわりついてくる。エレンの亀頭をすっぽり覆い、その下のくびれにもぴったりと張り付いて、剛直をきつく舐めあげる感触に、エレンは気を抜くと出そうなほど昂ぶった。

    「だいすき、エレン、エレンといると……止まらなくなる……っ ! 体から溢れて……どろどろになってっ……卑猥な妄想でいっぱいになるっ……私は、いやしい、最低の、おんな……」

     エレンを嬉しげに飲み干し、その形に変容するように、ミカサの中がゆるやかなひくつきを繰り返す。そのごくかすかな刺激にさえもエレンの脳はどろどろに溶かされるような陶酔を覚えた。

    「エレンッ、にッ、軽蔑、されてっ……罵られても……私は……雌犬って、淫乱だって、罵られても……いいっ……♥ エレンにいっぱい、してほしい……♥ 中に出してっ……♥ お願いぃっ……♥」

     ミカサが耳元で、悪魔の誘惑を仕掛けてくる。とぷとぷの汁がしたたる内壁の中で暴発する感触を想像すると、エレンは身震いしそうになる。

     目の前が歪んで爛れ落ち、全神経が腰からせりあがる快美感に集中していく。

    「はやくうぅっ……♥ もう……持ちこたえりゃれにゃいっ……! いぃーっ♥ いくっ♥ イキそ……♥ イッちゃ……♥」

     ミカサはびくびくと跳ねそうになるからだを抑えながら必死に突き入れを続けていたが、泣きそうな顔で動きが止まる。

    「こっ、こらえひれなっ♥ あぁっ♥ びくびくしてぇっ♥ いっちゃうぅっ……! ふくうぅーっ♥ うぅーっ♥ ぅあぁんっ♥」

     びくん! とひときわ大きく腰を回したミカサが、手足をがくがくと激しく痙攣させながらエレンを奥までくわえ込む。子宮口に叩きつけた先端に更にぐりぐりと容赦ない擦り付けを重ねながら、ミカサは喉や顎まで仰け反らせて、壊れたように体を引きつらせた。

    「ひあぁっ♥ あぁーっ♥ いっちゃ♥ あぁーっ……♥」

     ビグビクビグン! と、ミカサの中が蠢いた。特大のしめつけがエレンを覆いつくし、ぎちぎちと締め上げる。濡れ襞のねぶるような感触がエレンの膨れ上がった欲棒を苛み、どろどろの快感が堰を切るようにあふれ出した。

     エレンの体の奥から熱い塊が生まれ、瞬時に尿道を焼き、びゅくん、と脈動する肉胴につられて精液を吐き出した。

     どくどくっ、と、大量の粘液が脈打ちながらミカサの中に注ぎ込まれていく。

    「ひぁ……♥ せーえきっ♥ いっぱい来てりゅうぅぅっ♥ あつい……♥ あぁーっ♥ びくんびくんってぇ……♥」


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    Date:2013/09/23
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    Thema:進撃の巨人
    Janre:アニメ・コミック

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