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    アニメ・ラノベの同人小説倉庫

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    □ ゼロの使い魔 □

    かりそめの恋 -アンリエッタ-(仮題)

     検索ワード最多記念の、アンリエッタの話。
     一人称や言葉遣いなど細かいところを忘れてしまったので、間違っていたらこっそり教えてください。

    アニメ終了数年後、アンリエッタと才人の不倫エロ話。ちょっと大人めの調教もの。設定はアニメ準拠です。
    未成年はお戻りください。



     アーチ型の柱が優美にどこまでも続く広間の中央で、室内楽がゆるやかに鳴っている。人の歩みよりもいくらかゆっくりとした調べに合わせ、正装に鳥の羽飾りをつけた男女が踊るさなか、鮮やかなフルーツの盛り合わせがテーブルに運ばれる。
     宴は佳境に入り、屋敷中の人間の手に杯が持たされる。号令とともに、地酒が一気に呷られた。
     いつまで経っても社交界には興味を持てぬ様子の彼も、食事にだけは健啖な様子を見せる。今日の料理は少し物足りなかった、そう思いながら最後のひとくちを惜しみ、ふと気づく。人が次々と倒れていく――
     食後酒に何かが混ぜてあった。気づいたときには彼の瞼も鉛のように重い。
     それでも立ち上がれるのは、彼だけが、秘密の小細工をされているからだ。
     彼は隣で死人のように眠る妻を揺すり、起きないことに焦りと危機感を募らせる。やがて誰も彼もが深い眠りに捕われ、動けるものは一人もいないと悟るはずだ。
     誰が死ぬわけでもない。盗み集りの類でもない。この馬鹿げた騒動の目的がわからぬまま、彼はすばやく意を決する。犯人を捕まえなければ。
     広間を抜け、廊下に転がる従業員を踏まぬよう進む彼は、やがてひときわ立派な樫作りの扉の前にたどり着く。
     ホストの貴族は広間でもろとも眠りこけ、なんら害を受けたそぶりもない。
     ならば、と彼は考える。狙われるとすれば、この宴の最貴賓。

     ドアを蹴破る、つもりで、その扉は施錠もなく、すぐに開いた。

    「――きゃっ……!?」
    「あっ……」

     背中のファスナーから羽化する蝶のように肩甲骨を抜き取りかけた、真白い装いの女性がひとり。ドレスには金銀砂子の高価な刺繍、はだかの背中にひと巻きされた練り絹は、雪よりもなお冴え冴えとしたランジェリー。

    「す、すみません、姫さま! でもよかった! 無事で!」
    「いったいなんの騒ぎなのですか」

     着替えを覗かれて怒っている。そういうふりをしながら、谷間もあらわに半脱ぎの服を体に押し付けているのは、彼が捜し求めていた、現トリステイン女王アンリエッタ――つまり、わたくし。

     思惑どおりに進んでいることを短い応答で確認しながら、わたくしは彼にしなだれかかる。

    「賊でございますか? いやですわ……」

     賊など無論どこにもいない。これはすべてそういう筋書きの自作自演。
     彼は油断なくあたりを見渡しながら、瞼の重さと戦っている。

    「……ふふ」
    「なにニヤついてんですか」
    「そういえば、こうして二人っきりになるのも何年ぶりかしら。そう思ったら、つい」
    「そういえば――そうですね」

     こちらの誘導に簡単に引っかかるのは、催眠作用が働いているせい。眠気で鈍った眼前にちらつくのは、はだかの胸元に申し訳程度のドレスの布を押し付けたわたくしの姿。シングルレースで編まれた胸用の下着は薄く頼りなく、形をわずかに補正するよう持ち上げてはいるけれど、地肌の色は隠しようもない。青白くさえある胸に浮く、紅茶色の楕円の乳首。

    「5年――それよりもっと、かしら」
    「姫さま、いくつになったんだっけ」
    「とうに20は超えました。いやですわ、サイトさんもご存知でしょう? わたくしが民になんと呼ばれているか」

     純潔のリリィ。聖なる処女王。いまだ独身であることが、政治のつたなさのわりに信頼を集める一助になっている、とはマザリーニの評。

    「すこしお話いたしませんか」

     わたくしは彼の袖を引く。流行の漆黒に藍色の縞が入った伊達ものの乗馬ジャケットに、わたくしの手袋を脱いだ生の腕をそっと絡め、いざなうようにベッドサイドへ。
     半裸のわたくしにぴったり寄り添われて、彼がうめく。

    「しっかし、姫さまはスタイルいいなあ。目のやり場に困るよ」

     茶化して笑う顔は変わらない。だが以前のように、女の裸ひとつで動揺したりしないのは妻帯者としての余裕だろう。出会った当初の彼は、キスぐらいであきれるほどに昂ぶっていた。

    「あら、いやだ。ルイズみたいにスレンダーではありませんもの、見苦しいわ」
    「そ、そんなことないよ。あいつも細いように見えるけど、子ども産んでからこっち、ぷよぷよしちゃってさ」
    「あら、子は国の宝ですわ。大役を果たした妻を、そんな風におからかいになるの?」
    「もちろんルイズは愛してるさ」

     愛など吹けば飛ぶようだった10代を過ぎ、彼の顔つきもだいぶ違ってしまった。おそらくその言葉に嘘はない。いまさらどんな美女の魅惑が、彼を揺るがせにするというのだ。
     ……しかし、それでも。

    「……では、そろそろお分かりになったのではありませんこと?」
    「何が?」
    「愛はさまざまなかたちがあること」

     彼がわたくしの視線をつかまえる。じっくりと真意を測るように視線が行き来し、すずしげな流し目をこちらに寄越す。

    「どういうことだろ。どーも貴族の言葉遣いってよく分かんないや」

     うそつきね。そんな色っぽい目をするようになったのに。わたくしの知るあなたはただまっすぐで、駆け引きなどなにも知らない少年だった。
     彼と同じにポーカーフェイスで、胸の中だけで舌を出した。

    「ルイズはいとしい。お子も目に入れても痛くない。これ以上ないぐらいお幸せね。でも、人は欲張りなもの。満たされれば満たされるほど、浅く乾いた器が気になるものです。わたくしも、すこしは政治を覚えましたのよ」

     人を動かしたければ餌を撒け。長いスパンで腰を据えろ。決して物ほしそうな顔をするな。この世はもっとも飢えた人間が負ける。

    「玉座に冠、ドレスにダイヤ。カジノに軍隊、友人、忠臣、国土に未来。
    わたくしはもうたくさんのものを持っております。
    サイトさんも同じでございましょう?
    富と名声、美しい妻、幸せな晩年。すべてを約束された今、何不自由ない人生を楽しんでいらっしゃるのでしょう?」

    「何不自由ない――とは、思わない、かな」
    「まあ」
    「いや、それこそ姫さまも同じだと思うけど。王宮は嫉妬とかやっかみとかでストレス溜まること多いし、領地の維持だってそれなりに苦労もあったりするんだ」
    「ええ。お察しいたします。……退屈、でいらっしゃるのね?」
    「そんなとこかな」

     両手を握り、瞳を見つめてしなだれかかる。

    「なんて素敵な手なのかしら。男ざかりね」
    「アンも。きれいになった」

     こんなときに名前を呼ぶなど。重ね合わせた手のひらが熱くなる。彼がそんな機転をきかせられるほど、長い年月が経ったのだ。

    「ねえ、わたくしも退屈なの。これまで千篇もお見合い話を受けてきたけれど、誰の手を取る気にもなれなかったわ。これは政治で、半ば義務だと分かっていてさえ」

     彼は身じろぎもせず、わたくしを見つめている。その視線のあつさに心なしか肌が焼けてしまったよう。

    「女王になっても、ただひとつだけ手に入れられなかったものがございます。
    ウェールズ様も、サイトさんも、それだけはわたくしに与えてくださらなかった。
    だからわたくし、あなたにねだりにきたの」

     手を重ねたときと同様、唇を重ねても、彼はまたたきもしなかった。
     何度も角度を変えてくちづけ、彼をベッドの上に押し倒す。硬くかすれてまめだらけの手に指を絡ませて、鼻先に糊付されたシャツの香りを嗅ぎながら。

     追っ手を避け、平民のふりをしてしけこんだ木賃宿と、そっくり同じ状態だった。扉を破り、進入してくる兵の目を誤魔化すために、彼との口づけで顔と体を覆い隠した。

     八年前の彼には、拒まれてしまったその続き。
     彼もわたくしもどうしようもないほど若くて、お互いの身体の熱さをぶつけ合うこともできなかった夜。

    「お願いでございます。わたくしを愛してくださいませ。
    ルイズのようにとは申しませぬ。まことの心でなくともかまいませぬ。
    ただわたくしは、かりそめの恋が欲しゅうございます」

     そうしてふたたび唇を押し付けた。
     彼の唇はひんやりとつめたかった。蛇のようにちろりとわたくしの唇を捕らえた舌先も、まるで気のない素っ気なさ。熱と発情ではれぼったくなっているわたくしのくちづけに、ほんの義理で応えたかのような。
     ベッドの上に押し倒してしまってから、気がついた。
     わたくしはこの先いったいどうしたら――?
     彼の、意図の読めないにごったまなざしがわたくしの胸のうえを走る。まだ少年だった頃、彼の視線には痛いぐらいの飢えがあった。その熱さと強さがわたくしをすっかり虜にした。キスして彼に身を預ければどうにでもさらっていってくれるものだと夢想するぐらいに。
     温度のないまなざしが、急速にわたくしの体を冷やしていく。今さらながら、恥知らずな行動に消え入りたくなる。

    「あの……」

     顔色をうかがうように見ると、彼はとつぜん笑い出した。

    「ふ……くくく。あはははは」
    「さ、サイトさん……?」
    「ごめん。だって姫さま、すっげー恥ずかしそうなんだもん」

     彼の指摘のとおりだった。商売女のように迫ってみたところで、わたくしには殿方を虜にする手立てなど分かりはしない。わずかな火花で驚くほど燃え上がる彼の強いまなざしに貫かれたことが忘れられなくて、もう一度味わいたくて、それで同じように仕組んだだけ。その先のことは、すべて彼の出方しだいだった。

    「姫さま、こういうの苦手なんでしょ?」
    「ど、どうして?」
    「遊び慣れてるかどうかなんて、見たらすぐ分かるよ」
    「……そんなに、滑稽だったかしら」
    「まさか。かわいいなあって、そう思っただけ」

     彼はわたくしにからめとられていた手をそっと外すと、わたくしの下着に手をかけた。肩紐をずらし、胸もとから指を差し入れる。
     むにっと、強い力でひねりあげられた。

    「ひぁ……っ」

     乱暴すれすれの力強さで、彼の厚ぼったい手がわたくしの胸をこねまわしていく。ぞくぞくぞく、と震えが駆け抜け、腰から下が完全に砕けた。

    「あン……そんなに……強くしたら……」

     痛い。痛いけれども、それはうっとりするような快感を伴った痛みだった。

    「こういう風にされたいって、顔に書いてあるけど?」
    「うそ……うそ、そんな……」

     もの欲しそうな顔など見せず、火遊びに誘うぐらいの気安さで。そのつもりで書いた筋書きだったのに、彼に見透かされるなんて。
     顔から火が出るほど恥ずかしい。でも、それすらも痛がゆい刺激になって、わたくしの身体を焦がしていく。

    「姫さまだもんな、何にも知らなくて当たり前か」

     彼の顔に浮かぶ笑みは、大人の男のそれだった。底知れぬ鋭さを持ちながら、幾重にも頑丈に封じ込めて笑う、けものの目つき。少年だった頃と比べて不透明にはなったけれども、奥底にゆらめていているものは変わらない。
     そこにわたくしが欲しかったものを見出して、からだが熱く燃え滾る。

    「はぁ……あン……んんん……」

     彼の手が背中を滑り、腰のくびれをなぞって、お尻のふくらみをぎゅっと掴む。ぐにぐにと性急な手つきでこねまわされていくたびに、身体の温度が一度ずつあがっていくよう。もぎ取られるのではないかというほどきつくわしづかみにされ、その手からどろりと彼の情欲が染みてくる。彼のなかにある真っ黒な欲望が、わたくしを求めてこの身を痛めつけていく。

    「姫さまのお望みどおりにしてあげてもいいけど」

     彼のつりあがる口の端に、愉悦の色が混じる。
     観察し、ねぶり、痛めつける捕食者の悦楽。

    「どうして欲しいか言ってみてよ」
    「どう、って……」
    「乳首に触ってください、とかさ」
    「そんな……」

     言えるわけがない。人より少しばかり重たい任につけられているとは申せ、今この場のわたくしは、無知な生娘でしかないのだから。

    「そんな恥ずかしいこと……口にできませんわ」
    「ルイズはちゃんと言うけどなあ」

     あのルイズが? おのれのやや子に乳をふくませる幼馴染のおだやかな横顔を思い出し、ぎゅっと胸に痛みを覚える。
     それはそのまま、彼女とわたくしの差だろうと思われた。硬質で透明感のある美貌に甘い雰囲気を漂わせ始めた要因。
     なぜなら、彼から愛されている。わたくしには、それがない。

     ぎゅむ、と掴まれた胸から甘い疼きが急に遠のき、代わりに鋭い痛みがやってきた。

    「痛……」

     彼は少しだけ手を止めて、それから羽根のように甘いそよぎでわたくしに触れた。剣の執りすぎですこし扁平になった指先で、驚くほど繊細に、皮膚が薄くなっているところを撫でる。

     その感触にわたくしはすぐにまた陶然となった。

    「ん……ふ……はぁ……っ」
    「しょうがないなあ」

     彼はわたくしをそっと抱き寄せ、自分の胸の上に寝かせると、唇に、頬に、耳に、あまたのキスの雨を降らせた。小動物の鼻先のように小刻みに、せわしなく押し付けられる、うっとりするほどやわらかい感触。

    「初めてだもんね。どうしてもねだりたくなるまで追い詰めてあげますよ」

     女王さま。最後のささやきは直接耳に吹き込まれた。舌が耳朶に差し入れられ、野卑な音が鼓膜に反響する。

    「あぅ……あ、あはぁっ……」

     そこから先は夢の底のようにぼんやりとしか覚えていない。
     彼の手が気の遠くなるほどゆっくりとわたくしの肌を溶かしていき、
     恥ずかしいぐらいぐちゃぐちゃになった下半身をなおもまだ執拗にいたぶって、

     そうして、繰り返しひとつの言葉を強要された。

     わたくしは気持ちよさと恥ずかしさと興奮とで自棄になってしまって、
     ついにその言葉を口にした。

    「あぁもぅ、おねがいです、わたくしに、……んで、」
    「聞こえないなあ」

    「ぶち込んで、くださいまし……っ! あっ、はぁっ、あああっ、んうぅぅっ!」

     彼はためらいもなくわたくしを貫いた。ひどい痛みの中、なぜだかわたくしは高みに追いやられて果てた。痛みと快さが焼け付きでも起こしそうなぐらい強く脳を刺し、わたくしはもうまともにものを見ることもできなくなって、目を閉じた。

     ……

    「あの妾宅、使えるようにしておくよ」

     終わった後、彼がそう囁くので、わたくしは泣いてしまった。何の涙かも分からない。嬉しいのか、苦しいのか、辛いのか、受け入れたいのか、拒否したいのか、自分でも分からないぐらい混乱していた。

    ***

     彼との関係はそんな風にして始まった。


     彼とわたくしとをつなぐ妾宅はルイズの手によって厳重に封じられ、彼がその扉を開くことはなかった。それでもいつか鏡の向こうに彼の姿を垣間見て、秘密のうちに招かれる日が来るのではと、望みを捨てられずにいた。
     下着選びには苦労しなかった。
     いつかの日を夢見てあつらえさせた下着の種類たるや、コレクションの域に達している。普段着の数倍以上にお針子を叱り付け繕わせたもの。見た目の美しさにこだわったもの。材質をこだわりぬいてひんやりと滑らかな手触りを実現させたもの。
     それらを身につけ鏡の前に立ち尽くす日々が続き、あっという間に数年が過ぎた。

    「ちゃんと来たんだね」

     彼が酷薄に笑む。まるで興味もなさそうにベッドの上に寝転がり、端に腰掛けたわたくしにあごで命じる。

    「それ、脱いで」

     わたくしはローブの肩を落とし、うす布でわずかに隠しただけの身体をさらす。黒いベルベットに金糸のレース。意匠は気高い薔薇の花。前開きのたもとにリボンが通され、ほどけるようになっている。

    「やーらしい格好」

     あざ笑われて顔が熱くなる。

    「姫さま、今日はどうして欲しいのかな?」
    「こ……この間と同じように」
    「おんなじように?」
    「えっとその、……してほしい、のです」
    「なにを?」

     彼がにやにやしながら見ている。許してくれるつもりはないようだ。
     わたくしはもてる限りの勇気を振り絞った。胸もとの紐を抜き取り、ほとんど隠れていない肌をさらに深く露出させる。

    「えっちなことを……」

     わたくしはなんてことを。恥ずかしさが全身を燃やし、芯を残らず抜き取っていく。
     それが素面での限界だった。彼にもそれが伝わったと思いたい。
     彼はそれ以上追及せず、わたくしの腰を抱いた。わたくしの太ももを立て、その間にある小さなひだに手を伸ばす。
     ぞくん、と震えが背中に走る。さきほど言葉を強要されたとき、身体がぐねぐねに溶けてしまうかと思った。たったそれだけで自分の身体がどう変わったか、彼に見られてしまうなんて。

     水を吸った海綿のような、ひどい音がした。

    「くあっ……ああぁっ……」
    「もうこんなにドロドロに濡らして。えろいなあ、姫さまは」
    「ちが……だって、あなたが……」
    「俺のせいじゃないでしょ?」

     ちゃ、にちゃ、ぬちゃ、と彼の指が小刻みに動き始める。

    「ひ、あっ……っ! やめれ、おねが、ひぃ……っ!」
    「ずっとこうされたかったんでしょ? 素直になりなよ」

     そんな風に辱めないで、そう思っているのに身体は割り開かれていく。
     もうやめて。やめないで。そんなに強く触らないで。もっと強烈にいじくりまわして。ちゅぷちゅぷと合わせ目の表面をなぞるだけの動きがもどかしくて、脚がぴくぴくと動いてしまう。

    「言ってご覧。『おっぱいいじめてください』」
    「……おっ……、」

     無理だ。そんな恥ずかしいこと、言えるわけがない。
     
    「言わないと止めるよ?」
    「はぁっ……あん、やぁ……」

     サイトさんの手が浅いところを撫でていて、わたくしはもっともっと深いところまで求めたくなってしまって、穴があくほど見つめられている胸がじんわりと熱を帯びたようになっていって、

    「『女王様だけどおっぱいいじめられたいです』」
    「さっ、さっきより恥ずかしくなってるではありませんか!」
    「言わなきゃどんどん吊り上げるよ。ほらほら。言ってみて?
    『女王様だけどおっぱい平民にいじめられたいにゃん』」
    「『……女王様だけど……おっ……おっ』」

     やっぱり無理だ。なみだ目で訴えかけるわたくしに、サイトさんは『ん?』とやさしげな笑みを返す。そんな善良そうな顔をしながら、わたくしに屈従しろと言うのだ、この人は。不思議なことに、それだけで達してしまいそうになった。ずきずきと、身体の奥底から切ない飢えが這い上がってくる。

    「ほー、ら」
    「ひゃあん……! あっ、あふ、やぁ、い、言います、言いますからぁっ!
    『女王様だけどおっぱい平民にいじめられたいにゃん』っ!
    ……あ、あ、あぁっ、やだ、それぇ、深いぃ……!」

     わたくしは両手で顔を覆って首を振った。とても彼の顔なんて見られなかった。
     サイトさんの指が身体の奥まで入っていき、わたくしは満足に息も吸えなくなっているのに、彼はさらに追い討ちをかけた。

     うす絹をかきわけて、彼がわたくしの胸をぺろりと舐めあげた。

    「あっ、あっ、やぁ、ひっ、はひぃっ、」

     呼吸が荒いのが自分でも分かる。
     彼が胸の頂きを吸いあげるたび、声が震えて身体がのけぞる。舌のざらりとした表面がたっぷりと唾液をたたえて舐め上げてくるのも、花の蜜でも吸うように頬をへこませてついばんでくるのも、空いた手でたぷたぷと肉を弄ばれるのもたまらなく気持ちいい。

     指がかぎ状にしなり、わたくしの一番奥に当たった。そこがちゅぷん、とみだらにひくつき、硬い指に吸い付いていく。

    「まだ狭いね」

     彼が検分するようにすりすりと内壁を撫で、気泡と粘液まじりの淫猥な音がそこからたっぷりとこぼれ出る。
     彼が口に含んでねっとりと転がす、ぷっくりと膨れた乳の先にも、視界が虹色になるような甘い快感が絶えずあった。

    「あっ、なんか、きちゃう、来ちゃいます、サイトさん、」

     たまらず彼の頬を叩き、やめさせようとする。だが彼は続行した。胸の肉に爪跡が残るほど指先が食い込んで、乳首の先にも真珠色をした彼の歯が甘やかに突き立てられる。寝そべることも許されず、かろうじて起こした上半身が恥ずかしいぐらい前後に揺れる。初めの夜にされたときとはまるで及びもつかない乱雑さ。

    「なんで、やめてくださらないの、ああっ、もう、うぅ、ぅーっ……!」

     嬌声が跳ねて消える。真っ白な爆発に巻き込まれて、わたくしはひとたまりもなく吹き飛ばされた。

    「ごめん。かわいすぎてつい」

     くたりと力が抜けて、思考も白紙に戻された状態で、そんな風に言われてキスなどされては、許さないわけにはいかなかった。

     うっとりといとしい人の顔を見上げていると、そのままベッドの上に押し倒された。
     その態勢で熱っぽくささやかれる。

    「いちばん最初に教えたよね? 覚えてる?」

     くちゅり、と、肉襞の入り口に何かが触れた。ぐり、と瘤のようなものがそこをにじる。熱くたぎった彼の肉棒。忘れるはずがない、それを入れてもらうために、さんざん嬲られた。思い出すだけで思考に靄がかかったようになる。

    「して欲しいことがあれば、ちゃんと声に出してお願いするんだよ」

    「入れて、じゃなくて。『ぶち込んでください』」

     確かにそれを教わった。拷問のように気持ちいい責めが無限に続き、心と身体が壊れる寸前で、そのたったの一言があっけなく純潔を散らしてしまった。

     なぜだろう、それを言わされると思うだけで死にたくなるほどひどい気持ちなのに、心の別のところがどろどろに弛緩して切ない痛みを訴えかけてくる。
     歪んではいるけれども、それはまぎれもなく求められる嬉しさだった。

     この人の強い腕が好きだ。わたくしをひどい目に合わせて笑っている残酷さが好きだ。心も身体も弱くて脆くてすぐに痣だらけになるわたくしと違って、なにか揺るぎないものを持っているあなたに、深いところまで屈服させられるのが好き。

    「わたくしに……くださいまし……」

     彼の目が細められる。
     その流し目の先に宿る冷たさがわたくしをいっそう駆り立てる。

    「わたくしに、あなたの硬くてぶっといもの、ぶちこんでくださいまし」

     ざくり、と斬りつけられたのかと思った。でも違った。何か大きな異物がつっかえながら胎内に入ってくる。蜜壷の入り口が痛々しいほどめくれあがり、そこに赤黒い肉の竿がずぷりと埋め込まれていく。

    「いぃ、いひぃ、きもちいぃ、んんんくぅっ!」

     お尻をきつくつかまれ、ぐちぐちと中を突き崩される。両足の膝が顔につくほど身体をねじまげられて、すりこぎのような太い肉が自分の秘所に激しく出入りするのを嫌というほど見せ付けられた。わたくしのはしたない潤いで肉の棒がぬらぬらと光っている様まではっきりと見える。

     彼の筋肉質な腕が伸び、わたくしの乳房を弾ませる。握力の強い指が痕を残しそうなほどきつく食い込んだ。弾けそうになっている肉の重さと軟らかさを楽しんでいるのだろう。女の身体のことなど何も考えない、純粋におのれを満たすためだけの触り方。混じりけなく彼の欲望だけでされている行為だと思うと、その痛みが不思議な疼痛を帯びてくる。

     突き入れがほとんど暴力的なまでに早まり、肉と肉のぶつかり合う音さえ聞こえてくる。その確かさこそが欲しかったものだった。容赦なく奥の奥まで小突き回されて、身体の輪郭がぐちゃぐちゃに溶かされていく。

    「はっ、ああっ、やぁっ、ダメぇ、わたくし、また、また、」

     今にも限界に到達しそうな身体のわななきを抑えに抑えてようやくそれだけ絞り出す。ストロークに手加減はなく、彼の体力の許すままに揺さぶられている。意味のある言葉を出せただけでも奇跡的だった。

    「イキそうなら、ちゃんと『イキます』って言って」
    「あぁっ、イキます、イッちゃいますうぅ!」
    「素直になってきたね」

     彼の手がわたくしの口に突っ込まれ、舌を指でぐちゃぐちゃに蹂躙される。今ではその感触ですら狂おしい。

    「気持ちひぃ、ひっちゃ、ひっちゃいまふぅ、もう、ふぁ、あああ、ああああっ!」
     さっきよりも重く深い快感が脳内で爆ぜた。気持ちいいという表現ですら生ぬるい、ボディブローのような一撃を食らい、跳ねあげたつま先がめちゃくちゃに痙攣を繰り返す。

    「……ちょっ、それ俺も、やばいって」

     わたくしの身体が完全に動きを止めるまで、彼も微動だにしなかった。何かを堪えるように息をつめ、ため息をつく。

    「……ぶなかった。姫さま、すんごいえろい身体してんね。いくとき痙攣しすぎでしょ。持ってかれるかと思った。……うわー、ぎっちぎち。めちゃくちゃ締まったね」
     達したばかりで閉じた中洞を、彼が重い動作で割り開く。
     その一突きだけでまた飛んでいきそうだった。

    「ああっ、はぁっ、はぁっ、あぁ……! や、やめてくださいまし、いま動かれたら、わたくし、」
    「そんなエロい顔して言われてもなあ。もっとしてくださいって言われてるようにしか聞こえないんだけど」
    「そんな、違います、わたくしは、……ひゃあん! あ、あぁぁ……だめぇ……」
    「いや? いかされたばっかりなのに無理やり揺すられてまたイクの、姫さまは嫌い?」

     彼が弓でも引くように強い力を篭めてわたくしから抜き去ると、そのままずん! と最奥まで突き入れた。こわばった肉壁をこのうえもなく強くぐりぐりとこすられ、目の前に星が飛ぶ。

    「あああぁんっ! ひ、いやぁ、そんなに強くしないで、あぐぁううっ、ううぅっ、うううぅぅぅっ!」
    「めちゃくちゃ収縮してんだけど。教えたよね? 素直になりましょう、って。こういうときは何て言うんだっけ? 姫さま」
    「あああっ! あぁっ! いやぁっ! でも、こんなの、わたくし、耐えられな、はあぁぁんっ!」
    「違うでしょ、『いっぱいイカせてください』でしょ」

     前後の感覚が反転し、三半規管がぐるんと酔いを伝えてくる。浮ついた意識に強烈な奔流となって快感がなだれ込み、ぐぷぐぷと重たい抜き差しを繰り返す胎内から、ごぽっと大量の分泌液がかきだされてくる。重たく、強く、激しく、早く。
     容赦のない陵辱に、心のどこかが悲鳴をあげて悦んでいる。服従すればもっと甘いものを与えてもらえる。ぐらぐらと煮えた視界に、はだけたシャツの下の分厚い筋肉が踊るのを見る。自分をかき乱す強い律動を感じて、腰から下がなくなったようにとろけた。
     そうかと思うと、彼の動きは急に静まり、ぎりぎりまで昂ぶったわたくしを水際でこちらに引き止めてしまう。激しい責めにも耐えられなければ、緩急のついた焦らしにも耐えられそうになかった。
     そうなればもう全面的に降伏するしかない。

    「『たくさんイカせてくださいまし』、お願い、お願いですからぁっ!」
    「『ご主人様』は?」
    「『ご主人様、たくさんイカせてくださいまし』、わたくしに、たくさんくださいましいぃぃっ!」
    「……っ、ほんとにエロいなあ」

     そのとき初めて、彼の腰が引き攣れた。ほとんど限界に達したようだった。ここに来てはじめて見る彼の性的な反応にわけも分からず嬉しくなってしまい、本能的に恥骨を擦り付けていった。
     いくらも動かないうちに、彼にも限界がきた。まぶたが急速にとろんとし、わずかにはずんだ息をわたくしの首筋にそっとこぼす。

    「ああっ! あああっ! あーっ……!!」
    「くうぅっ……」

     彼に押しつぶされて窒息するのではないかというぐらいきつく押さえつけられて、激しい快感の波にさらわれた。眼前で何度も強い光がまたたき、びくびくびくん! と強烈なおこりが体に走る。


    「……気持ちよかった?」

     そんなこと、聞かないで欲しかった。言うまでもないことなのだから。でも、こんなとき、何を返せば彼が満足するか、もう分かっている。

    「……はい。とても……」
    「ん」

     彼の腕をつかまえて、その胸に恭順のくちづけを落とした。

    ***


     それから続けて二度交わって、胎内にも胸にも髪にも甘苦い精を振りかけられて、全身汗みずくの泥まみれで自室に戻された。

     その姿を見たメイドが眉をひそめるのにもかまわず、懇願して湯の用意をしてもらう。
     
    「ほんとうにどなたかお呼びしなくてもよろしいのですか?」
    「いいのです、誰も人を寄せ付けないで、内緒にしていてくださいまし」

     痛ましげに見つめてくるメイドの視線がつらくて、
     わたくしは消え入りたいような気持ちでばしゃんをお湯をかぶった。
     体中に残る痣が、鈍い痛みを伝えてきていた。


    ***

     仰向けになって、天井と彼を見上げていた。自分ではない、別の誰かの手に持ち上げられる胸というのは不思議な感覚だ。仰臥で横に流れてしまった肉をごつごつした手がすくいとり、軟性のねんどでもひねるようにたぷたぷと中身を躍らせている。
     その跳ねる毬のような胸のふくらみを見る彼の目つきが、異様に鋭い。
     時折、親指や人差し指や中指がかわるがわる、ぷっくりと持ち上がった乳首をつまみ、こすり、挟んで、撫でた。そのたびにわたくしの喉の奥から動物のような鳴き声が漏れた。
     こくっ……と、わたくしの喉が知らないうちに生唾を飲み下す。さきほどから喉がひりつくように痛んでいたし、そのくせ目からは勝手に涙があふれてくる。

    「サイトさん」
    「……『サイトさん』?」
    「ご主人様……我が王」

     言い直すのになんら抵抗はなかった。もたついて機嫌を損ねることのほうがよほど怖かった。

    「お願いでございます」

     彼がちらりと視線だけをこちらにくれる。強くしなる指も止めずに。節くれだった指の腹がわたくしの胸を高々とつかみあげ、たぷんとひどく重たい動きではずみをつけて元に戻される。心の底からの愉悦をその塊にぶつけられ続けて、わたくしはもう痛いぐらいに気を高ぶらせている。
     はしたないと分かっていても、それを口にせずにはいられなかった。

    「わたくしもう我慢がなりませぬ、どうか、浚ってくださいまし」

     彼がわたくしの顎を強引にこじあけ、唇も歯も大きく開かせて、音が立つほど強く舌を吸い取っていく。つかまれた顎がじんわりと痛み、その痛みが被虐的な甘さを引き立てる。息継ぎも与えられずに奪われ続けて、まぶたの奥がどろりと溶けていく。

    「んんん……っ」
    「……姫さまの言葉はちょっと分かりにくいんだよね。さらうってどういうこと?」
    「ですから、お好きなように、その」
    「好きにはしてるよ」
     
     彼が意地の悪い笑みを浮かべてわたくしを見やる。
     恥ずかしくて死にたくなるような言葉を、どうしても言わせたいようだった。それはとぼけているように見せかけて、実質的には命令だった。彼はわたくしが口にしなければ、決して何も手を下さない。優しいようで、真実はその逆だった。わたくしが全て望んだことだとつきつけるのに、それは抜群の効果を示した。

    「あぁっ、いや、そんなにつつかないで、うぁん、わたくし駄目になってしまうわ、いやぁ、あうぅんっ……もう、ね、もうよろしいでしょう? あぁっ、わたくし、もうすっかり支度が整っております、ですから、あっ、ああっ、」

    「そりゃあ姫さまは準備ばっちりでしょうよ、俺、もう一時間ぐらいずーっとご奉仕してさしあげてるんですよ? 女王殿下の御身におかれましては、さぞやご機嫌うるわしゅう……っと」

     彼の手がふいに太ももをつかみ、付け根にたっぷりと余るお尻の肉をぞろりと撫で上げる。その意味するところが電撃のように脳にひらめき、わたくしは羞恥で肌を燃やす。

    「あーあ、こんなに濡らしちゃって」

     嘲笑とともに、彼がおのれの手の甲を舐めあげる。ひどく色っぽい仕草に、どうしようもなく体がうずいた。彼のそういう突き放したような挙動が、なぜだかわたくしを焚きつける。
     わたくしは沸騰しすぎて、泣きたいような気持ちになった。今日の彼は、あまりにも辱めが過ぎる。教え込まれたとおりのことを口にしたし、十分ではないか。本当に恥ずかしくて、こんなになるまでずっと我慢して、自分でもどうにもならなくなってしまったから、泣きついたのに。

    「これって体質?」
    「ふ、ふつう女はこのようなものだと伺っております」

     澄まして言うのが精一杯の反抗だった。

    「知ってる。けどここまで激しいのは初めて見たよ。いつもこうなの?」
    「わ、分かりませんわ、わたくしはあなたとしか、その、経験が」
    「そう、それ。姫さまは経験が足りないよね」
    「……責めていらっしゃるの?」

     彼は手早く履き物の下帯を解いた。下半身の腰のところだけを露出させ、懐刀ともいうべき肉筒を取り出す。
     それはいつもと違い、中ほどまでしか持ち上がっていなかった。柔らかさの残るその刀を、わたくしのおなかの上に載せる。ひけらかすべきでないもの、あまりまじまじと見てはいけないものという先入観もあり、わたくしはつい目を逸らしてしまう。

    「陛下に謹んでお教えいたしましょう。オネダリするなら、それ相応の方法ってものがあるんですよ」

     彼の視線はわたくしの胸にそそがれている。たぷっ……と乱暴に両方の胸を捏ねて、それからぐうっと中央に寄せた。

    「きれいなおっぱいしてますね。肌なんかこう、クリームみたいに滑らかで」

     ぴったり寄せ集めてできた深い一本線の谷間に、彼が指をもぐらせた。訓練で血豆のできたざらざらの指がわたくしの肌を浅くひっかき、かすかに痛んだ。

    「やーらかい。すっげー気持ちよさそう」

     片手間で、彼は何かの小瓶のふたを開けた。香油のような匂いが鼻につく。どろどろのそれを手のひらにとり、彼はわたくしの胸にべったりとなすりつけた。

    「んっ……」

     ぬろっ……と正体不明の香油がわたくしの胸に塗りこめられていく。谷間、下の乳、肋骨、鎖骨。皮膚の薄い胸の先端をも、それでぬるりとこすられる。ずくん、と体の芯から電撃が走った。

    「あっ……はぁん……」
    「いいでしょ?」
    「はい……ぅくっ……」
    「このぬちゅぬちゅのどろどろになったおっぱいで、コスってほしいんだけど」

     彼の肉厚のふとももがわたくしの肋骨をまたぐ。寝そべって、鼻先で見るその雄雄しい先端は、奇異以外のなにものでもない。丸みを帯びた肉の棒筒のような形状は、つるりとしているようで、太い血管が幾重にもめぐり、ひくひくと切なそうに脈打っている。てっぺんには笠のようなものがついてさえいた。
     その笠が、わたくしの下の胸をつっついた。彼が両手でぬらつく胸を絞り上げ、その中央にずむりと自身をつきさしていく。ぐぷり、と人肌の熱い感触。

    「やべー……すげー気持ちいー……」

     彼の体から一気に力みが抜け、腕や肩がくたりとしおれた。彼の手に余る胸の肉が支えを失い、ぶるんっ……と両脇に流れてしまう。

    「支えてて」
    「こう……ですか?」

     見よう見まねで胸の肉を手のひらで挟み、真ん中に深い谷間を作る。べちゃっ……と手についた香油で異様に滑るのだけれども、それが彼にはいいらしい。つるつると逃げ惑う胸の肉をなんとか無理やりまとめあげて、ひとつの塊のようにした。
     彼がそこに足腰をぐいっとにじらせて、体を深く沈めていく。ぬぐ、と先端が胸の間から飛び出し、また胸のなかに深くもぐっていく。

    「やばい」

     ひとことだけつぶやいて、彼は急に動かなくなった。

    「ど、どうしたんですか?」
    「ちょっとキそうだった」

     来る、というのは、殿方の精が出そうだったということなのだろう。谷間から露出した彼の先端はさきほどよりも張りや艶を増し、臨戦態勢に入っている。うすく入れられた切り口から、香油とは違う、青白い精のようなものが少しはみだしていた。

    「もういい。つづけて」
    「はい……」

     胸をぎゅっと絞り上げ、むぎゅう、きゅう……っと男の根を包み込む。彼の肩が震えているのがわかる。彼の興奮が極地に達している。そう思うと自然と手に力が入り、上体がくねってしまう。もっと密着させて、中のように締め付けて。夢中になって奉仕を続けていると、たまらない、といったように彼がため息をついた。

    「すっごいイイ。なんだこれ」
    「ふふ……嬉しゅうございますわ」
    「これ、ルイズでは無理だかんなー……」

     あまり聞きたい名前ではなかった。でも彼が溺れていくさまを見ていたら、どうでもよくなった。はけ口としてでも、確かにわたくしが求められているのだから。
     ぬぷり、と彼が自身を引き抜いた。

    「もう出そう、やばい。一回出していい?」
    「お待ちくださいまし、なかにはその、注いでいただけないのですか?」
    「それは、姫さまのがんばり次第じゃない? オネダリの仕方はもう散々教えたよね。これでちゃんと俺を満足させてくれたら、もう一回ぐらいしてもいいよ」

     彼がわたくしの肩を押さえつけ、すこし前かがみになった。本格的な突き入れがはじまる。ぬっ、ぬっ、と胸の皮膚が破けそうな強さで中がこすられ、痛めつけられた。わたくしはその動きにたゆたゆと流れ逃げる胸の脂肪をひたすらつなぎとめ、彼の律動を受け入れる。こちらの腕がしびれてしまうかと思うほど長い抜き差しの果てに、彼がようやく気を吐いた。

    「ふ、くぅ……」

     小さなあえぎとともに、胸がどろりと汚される。びくびくと反射する肉の塊から、あたたかいものが流れて広がった。
     彼がそれを指に取り、わたくしの唇のなかにねじこむ。

    「ん、ううぅ!」
    「ちゃんと舐めてね」

     指がわたくしの舌をぐにぐにと蹂躙し、異臭が鼻から抜けていく。ひどく塩辛いそれを指の一本一本からこそげおとし、ぐずぐずにしゃぶっていく。

    「ふ、うむうぅ……あむっ……ちゅうぅ……」
    「姫さまはほんとにえろいね。いい子だから、少しだけね」

     彼は白濁液まみれの胸をぬるぬるの片手で掴み取ると、頂きにかぶりついた。

    「ひゃっ……! あぅ……!」

     じゅる、と音を立てて、胸にたっぷりとまとわりつく粘性の香油ごと、立ち上がりきって痛いほどの乳首を吸い取っていく。唇の端から吸い取りきれなかった香油がこぼれ落ち、彼の顎やのどまでどろどろに汚した。
     それだけで目の前がくらくらして、わたくしはいともたやすく溺れてしまう。
     彼の指をかみ締めて耐えていたら、彼に顎を捕まえられた。くちづけすれすれのところまで顔を近づけて、甘く囁く。

    「そんなんじゃダメ。もっと声聞かせて」
    「ひっ……あくぁう……! ふぁっ、もうがまんがなりませぬと、ひゃきほども申しました、ひゃああっ、ひゃめて、それ以上したら、おかひくなってひまいます、どうか、どうか、はっ、あぁっ、ふあぁぁんっ!」
    「そうそう。そういうの。いいね、姫さまほんとかわいい。
    ……そろそろしてあげてもいいけど、ちゃんとオネダリできる?」

     もう何度目かも分からない、儀式のようなやりとり。
     わたくしが身も世もなく感じてしまって半狂乱になってしまわなければ、とても口に出せないだろう、品性も人格も奈落に堕ちきるための悪魔の呪文。

    「い、言います、申し上げますから、もうおやめくださいまし、はひっ、ひぃっ、
    ひぃやあぁぁぁっ、わたくしをおかひて、ぶち込んで、お情けを、くださいましいぃぃっ!」

     ふやけた指がずる、と口腔から引き抜かれ、わたくしの身体を捕まえる。開かされた脚の奥でみだらな言葉を言わされ泥酔しきった肉園がごぽりと熱い蜜を吐き出した。そのぬかるみを引き裂いて、屹立したものが埋没していく。地震にも似た眩暈が起きて、わたくしの身体がどこまでも落下していった。

     くるくると駒のように回る意識の中で、彼がわたくしの頼りない腹筋に自分の剛板のようなそれをすり合わせるのが見えた。急な動きで体をずちゅんと揺らされたついでにわたくしの胸が大きく撥ね上がる。

     どぷどぷと胸が揺れ、わたくしの喉の奥から悲鳴が引きずり出される。敏感になりすぎて紅く充血した粘膜に、張り詰めすぎて黒味を帯びた太い杭が機関銃のように打ち込まれる。ずっずっ、と籠めては伸ばされる杭を最奥まで誘うように肉が媚びのうねりを発する。薄皮をむかれた果実のように肉と汁をめちゃくちゃに攪拌されすりつぶされた。

    「ああぁぁーっ! あうっ……うぐうぅぅっ……ふ、ぅ、ぃ、ーっ……!!」

     絶叫を続けて喉がやぶれ、次第に嗚咽のようなうめきだけが痛む喉からほとばしるようになり、見られまいと覆い隠した顔から腕がずるんと外れて、パニックになりながら彼の髪やシーツを必死でつかんだ。

     たっぷん、たっぷん、たっぷん、たっぷん。身体の上で胸が別の生き物のように跳ね散らかり、同じ回数だけ子宮やその周りが、悲鳴をあげたくなるような快美感を引き出されて縮こまる。

     おなかがあつい。灼熱と悦楽でしんでしまいそう。もっとして、もうやめて。意味があるようでないような、贖罪と命乞いの言葉の羅列が弛緩した舌のすきまからどろどろと流れ落ちていく。

    「とっ、とんじゃっ、飛んじゃいます、ゆるして、やめて、もうしないで、しなせて、ころして、こわしてぇっ!」

     彼がわたくしの一番悦いところにごつんと当てた。縮み上がる内壁いっぱいに銜え込まされた凶暴な楔が身体の奥を裏返しにしていく。むきだしの神経を直接すりつぶしているかのような、痛みとむずがゆさとどうしようもない強烈な快楽の奔流。

     どくん、と、脈拍のように結合部がうねった。

    「~~~~~んんんうぅぅぅぅっ!!」

     白い極楽の幻が長いこと脳裏にまたたいた。わたくしの痙攣を受けて、彼が身体を強張らせる。

     彼はたまりかねたように、歯牙を割ってわたくしの肩に噛み付いた。鋭い刺激がびりっと脳に走り、すぐにそれが埋もれるほどの膨大な快楽で上書きされる。脳細胞全部を侵食していくほどすさまじい浮遊感のなかでは、痛みも苦しみも一周回って快感にひどく似た陶酔を呼び覚ます。

     ふわふわと残滓が漂う夢の中で、鎖骨を齧られ、乳首をきつく食まれた。痛みの電撃は一瞬で甘い甘い蜜洞への打撃に打ち負かされて、分からなくなった。達したばかりの最秘奥を彼の砲身で撃たれるたび、洪水のように快感が分泌され、それが他の何にも優った。胸に歯型がいくつも残るが、痛みはいつも遠い雷鳴のようにしか響かない。強い指がわたくしの臀部を、大腿部を、無理な体勢にねじまげ、ひねる。

     ねじりきれるほど身体を鬱屈させられて、彼がわたくしの身体のさらに奥深くに潜り込む。そうしてはっきりと窄まりの行き止まりだと分かる部分が、ほとんど無理にこじあけられた。

    「あっ……あ、がぁっ……」

     痛いのか、苦しいのか、それすらもよく分からない。酸素不足で朦朧とした脳がさらにさらに大振動で彼から揺さぶりを食らい続ける。達成感が遠のいたあとには、真綿で喉を絞めるような苦しみがじわりじわりと沸いてきた。

    「もう……やめ、て……」

     喉がつぶれて、声はうまく出なかった。もがき苦しむわたくしの腕を、彼が邪魔がってひとまとめにくくってしまった。

     わざとなのか、タイミングを逃してしまったのか、彼は達していないようだった。わたくしが寸前でいたぶられていたのよりさらに強い律動で、わたくしの中をかき混ぜ始める。

    「やぁ……もぉ……だめぇ……」

     彼はわたくしを一切黙殺した。余計なことを喋るなとばかりに唇で塞がれる。
     彼の唇は存外に熱かった。今までに見せたことのないようなまなざしに、ふと懐かしさを覚える。それは少年だったころ、彼がわたくしを見つめるときに宿していた『飢え』だった。

     どくん、と心臓が痛んだ。そう、わたくしはこの瞳にやられてしまった。自分の冷たい肌には到底宿せない温度の炎。わたくしの懊悩など吹き飛ばして浚ってしまうような、本能の色。
     わたくしは真実浚っていってほしかった。この瞳に、この腕に、この強さに。そのための言葉など今まで知らなかった。誰も教えてはくれなかった。今なら知っている。彼が全部与えてくれた。

     突かれ、抜かれる法悦に、ぐちゅぐちゅと結合部が嬉し鳴きをしている。ぬかるみを掻き分けて、笠がわたくしの内壁のざらざらをえぐっていく。収縮した口が本能のままにぎっちりと彼を捕らえて扱く。

    「おねがいでございます、わたくしに、熱い殿方の精をそそいでくださいまし……」「孕むんじゃないの」
    「かまいませぬ、どうか、わたくしの中を最後までご堪能くださいまし。熱くて濃いのいっぱい注いで、汚して、犯しぬいてくださいまし……」
    「……俺、ちゃんと忠告したからね」
    「いいんです、かまいませぬ、かまいませぬから……!」

     彼がわたくしのウエストをつかんだ。そこにぎちぎちと指が食い込む。締め上げられて痛いと思うより早く、痛烈に内奥へ突き入れられた。

    「ふぁっ、ぁっ、あぁぁぁ、んんん!!」

     ひゅう、とかすれた喉笛が鳴る。声はとうに枯れてしまった。陶酔の虹が脳にまたたき、しゃぼんだまのように爆ぜる。ぐぷっ、と濡れた硬い音が身体から直接振動を伝って響き、すぐにそれが連続して鳴る。

    「んんん、んうぅーっ……!! んんんんん!!」

     浅く短い絶頂がいくつも続き、身体が高みに上らされて痙攣を繰り返す。

     ぐぷっ、ぐぷっ、と、強い突き入れに速度がつき、ぐぷぐぷぐぷ、と性急に中がかき乱されていく。
     やがて彼がわたくしの腰を抱き、脚をあらぬ方向にねじまげた。びっくりするぐらいの強力だったけれども、それがかえって、すごくよかった。

    「はぁん、なに、これ、いたい、のが、きもちい、なんて……んうぅぅっ!」

     片手でわたくしの足をからげたまま、彼がわたくしの首に手をかけた。びくん、と恐怖で身体がひきつる。彼の指にうっすらと力がこもり、わたくしはただでさえ呼吸困難ぎみだったのに、さらに酸素を奪われた。

     こわい、やめて。そう思うのに、身体が正反対の反応をする。
     とろり。体内から蜜がふきこぼれて、下の唇まで潤したのを感じた。
     わたくしは羞恥で身体が燃えて、それがきっかけでまた達した。

    「ひぃっ、いぃぃっ、いーっ、あーっ、あぁーっ……!」

     達した蜜壷が、彼をぎちぎちに絡め取っていくのが分かる。蛇か蛸のように締め上げられて、彼がようやくふみとどまっていた崖から足を踏み外した。

     熱量を伴った粘液がたっぷりとわたくしに浴びせられる。声もなく、目を細めて味わう彼。

     アンリエッタ、と。最後にかすかにつぶやいた声は。

     なぜだか今にも泣き出しそうだった。

    ***

     真新しいシーツの上を滑って、汗がしみていない端っこに身体を横たえた。
    「おーおー、びっちゃびちゃ」
     彼がそんなことを呟きながら、わたくしの頭に腕を貸す。
    「この部屋は……やっぱりシエスタが、掃除してくれているんでしょうね」
    「もちろん。ルイズにバレないようにってお願いしてあるけど、それもいつまで持つのかな」
    「……バレたら、わたくしたちはどうなってしまうのでしょうか」
    「殺されなかったらラッキーじゃないかな」

     ありうる。あの子のことだから。
     人のものだと知っていて手を出した以上、それも避けられぬ道なのだろう。

    「……姫さまはさ」
     彼がふいに言った。
    「なんでこんなバカな真似をしようとしたんだ」
    「バカな真似、とは?」
    「だからさ。分かんないかな? ……俺なんかのことは、とっくに忘れたのかと思ってたよ」
    「忘れられるものですか」
    「でも、ルイズと結婚してからは、ずっと女王様ぶってただろ」
    「……それは、忘れようとして、でもできなくて。わたくし、どろどろのぐちゃぐちゃでしたわ。今でもよくは分かりませぬ」

    「……姫さまらしいね」
    「そうなのでしょうか?」
    「つってもまあ、こーしてまんまと流されてるんだから、俺も全然成長してないけどな」
    「……ふふ」

    ***

     『陛下はクローゼットで眠るのがお好きなんですか』、とメイドに呆れられた。
     口封じに金貨や宝石を握らせる回数が増えてきていると知りつつも、どうしても鏡の前から離れることができないでいる。
     そこが開けば、彼に会える。

     次の週、約束の日時きっかりに、彼の部屋へのゲートは開いた。わたくしは一も二もなく彼の足元に身を投げ、臣下の礼を取る。これまで父王以外の誰にも執らされたことのない最敬礼。踝まであるネグリジェの裾をつまみ、下穿きのコットンに覆われた膝をわずかにさらけ出す。

    「お久しぶりでございます」
    「久しぶり、姫さま。会いたかったよ。ちゃんと言われたとおりにしてきた?」
    「はい……」
    「見せてごらん」

     わたくしは長衣の真ん中をたくしあげ、ふとももの内側をさらしてみせる。
     異変は素朴な町娘風のランジェリーの奥に現れた。
     ふんわりと風を孕むやわらかな下着が、そこだけしとどに濡れそぼり、べったりと張り付いていた。身体の中央に穿たれた黒光りのする張り型の縁を、伸ばした彼の手が撫でる。ほんのかすかな、振動とも呼べぬその動きに、沸騰したため息が知らずこぼれ出た。

    「はぁっ……」
    「よくほぐれてるね。……いい子だ」

     ずぷん、と彼の指がわたくしの張り型を抜き差しする。わたくしはそれだけで立っていられなくなった。ひくひくひく、と、絶頂のきざしが足腰を揺るがし、かくん、と膝が折れて、体が大きく傾いた。

     そこを彼の手に支えられ、ベッドの上に横たえられて、キスをされた。わたくしはたまらなくなってしがみついた。『すぐにでも迎えられるように』と申し付けられたから、そのつもりで用意をしてきたのだ。

     甘いくちづけなどでは、すこしも足りない。

    「は、早くぅ……」
    「ダメ、ちゃんと教えたでしょ?」

     彼の手がわたくしの中をかき乱す。

    「う、ふぁあっ……わ、分かっております、ですからやめ……あぁんっ!」

     重ね履きしたレースをかきわけ、肉の口だけを道具か何かのように晒し、彼の前に捧げてみせる。
     張り型をくわえ込まされた根元の様子を、燭台の明かりが烈しい羞恥の色に染め上げた。

    「わ、わたくしの、あ、穴を使い、御身をお慰めくださいまし。我が王の御前にては、わたくしは、め、……雌犬も、同然に、ございます。ご覧くださいませ、嬉しそうに、よだれを、垂らしておりましょう?」

     一気にずるり……と引き抜く。

    「ん……んんんううぅぅぅ!」

     軽く気をやりそうになった。もはや自分の指で触らないでいることさえ辛い。
     わたくしの体に張り型と同じ形の大きな空洞がぽっかりと開き、中の赤昏い襞のザラついたおうとつが白日のもとにさらされる。すこし遅れて縁がさかなの口のように頼りなくぱくつき、濡れた淫猥な音を吐き出した。

    「すっかり慣れてきたね」

     彼の指がわたくしのあごを撫であげる。彼にそれをされると、わたくしは猫の子のようになってしまう。喉の奥でくんっと媚びた声色が鳴る。甘い陶酔で胸の中が満たされ、熱をもった下腹部が甘く疼いた。

    「いいよ、それじゃ仕度をお願い」

     許しを得て、わたくしは彼のズボンに手をかける。生まれてこの方、自分の着替えですら半ばメイド任せだったわたくしに、下帯の解き方を手づから教え込んだのは彼だった。

    「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

     暴露したその猛りに、わたくしはうっとりと舌を絡ませる。ほおばった口の中で肥大化していく彼のそれを、一心になめとった。ぶら下がった柔らかな袋の皮膚、根元のこりこり、芯の通った肉の茎。子猫のように何度も何度も舌を重ねて、てっぺんまで上り詰める。 

    「おいしい?」
    「はい……わたくしに最上の美味をお与えくださり、ありがとうございます……じゅぷっ、じゅるっ……んはぁ……」

     ほどなくして彼のものは最大になった。十分に準備の成ったそれに、わたくしは四つん這いになって、後ろ側を捧げてみせる。人差し指と中指を添え、中身を左右に割り開いたわたくしの身体は、さきほどほぐした余韻がたっぷりと残っていて、挿入の予感だけで芯から震えた。

    「ご賞味を、我が王……」

     彼の手が後ろからわたくしの腰骨をつかみ、ぐぷり、と真ん中から刺し貫いていく。

    「はぁっ、あっ、ああぁぁっ……!」

     全身の皮膚が裏返った。手足が義体のパーツのように知覚から切り離され、代わりに子宮とその周りだけが真っ赤な脳内に感覚される。彼の手がお尻の形が変わるほど深々とドロワーズに食い込んで、繊細な肉の合わせ目がこれでもかというほどよじれていく。痛みと苦しみと羞恥心が一気に毛を逆立てた。

    「あっ、あっ、あああっ、ああぁぁっ!」

     背骨の末端から火箸を差し込まれたように、全身から汗が噴き出した。蝋が溶け出すように、どろどろの肌からぷつり、またぷつりと珠の汗がこぼれていく。
     どくり、と鼓動が耳の奥で大きくこだまし、快感で意識が遠くへ行った。

    「いっ、ちゃいま、す、もういく、いくいくいく、いぃーっ……!」

     おなかの底をえぐるような、辛く激しい達成感。押し込められていた弾性のものが箍を外され、めちゃくちゃに跳ね返る。反動で脳が揺すぶられ、桃色の液体の海に溺死させられそうになる。

    「ひぃーっ、ぃーっ、はひぃーっ、あーっ、あぁーっ……」

     彼の腕が突っ伏したわたくしの身体を強引に建て直し、ぐちゅぐちゅと中の蜜肉を掘削していく。奥まで届ききったわたくしの浅い窄まりをごり押して、根元まで突き刺そうとわたくしの腰の角度を無理にまげていった。

     尻尾をつかまれた猫のように、わたくしのお尻だけが恥ずかしい高さに持ち上げられる。恥ずかしさとみじめさで打ちのめされて、泣きたいぐらいなのに、痛がゆい陶酔感で身も心もどろどろに汚されていく。高みに追いやられたばかりで縮こまった襞肉が、みるみるうちに溶け崩れて、柔らかくひくついていく。

    「あぁっ、そんなに、しないで、やぁ、だめぇ、まだ動いちゃだめ、ああっ、だめって、いってる、のに、あああっ!」

    「きっつ……」

     妖しくなまめく秘部の肉に、氷のようにそそり立つモノがずん、と押し込まれる。視界ごと揺さぶる振動が、岩を砕く魔法のようにわたくしの意識をがりがりと削り取っていく。

    「すごい、すごいの、気持ちいいっ、けずれっ、けずられてるっ、ああ、もう、うぁん、わたくし、しんで、しまいま、すうぅぅっ!」

    「だからさ、えろいんだって、姫さまは」

     彼がわたくしの太ももをつかみあげ、ぎりりと肉をしめあげる。それは中の肉も一緒くたにひねりあげるような、手痛いつかみ方だったけれど、夢中になってしまうと痛みよりも快感のほうが圧倒的に響いてくる。その乱暴な扱われように目の前がうっとりと遠くなっていく。

    「イキそ……姫さま、ごめん」
    「あぁっ、あっ、きて、おねがい、なかに、きてくださいましっ!」

     彼の総身がぶるりと震え、両腕がわたくしの腰のいちばん細いところにまきついた。無様に彼に捕らわれたまま、わたくしは彼の子種をきつく浴びせられていく。

    「ん、ん、くぅ……!」

     ひどく長い痙攣を終えて、彼はとさりとわたくしの横に倒れこんだ。

     彼の薄く汗の浮いた額をついばんでやり、塩からいこめかみをきれいにしていく。
     彼はとろんと眠たげにまぶたを下ろして、わたくしをねぎらうように二、三度撫でた。
    「ん。ありがとね」
     そのまますうっと呼吸が深くなり、死んだようになってしまった。
    「サイトさん……?」

     疲れているようだった。からだから力が抜けていき、やがて規則ただしい呼吸がかすかに胸を上下させるようになる。
     せっかく会えたのに。苦しみがぎゅっと胸を押しつぶす。

    「そんな。わたくし、こんなに楽しみにしていましたのよ」

     彼の上にのしかかり、脱がされもしなかった長衣の胸をこすりつける。ぶるんっ……とことさら重たく揺らしてみせても、彼は目さえ開けてくれない。こらえがたい疼きを抱えて、わたくしの足の裏がちりちりと焦がされる。

     わたくしは彼の頬にくちづけた。小鳥のようについばみを繰り返し、かすかに眉を寄せてうめく彼に身体をぴったりと寄り添わせる。肩に頭を乗せ、硬い胸板にむにゅんと脂肪を乗せた。首筋に指を這わせ、萎れつつある股間にふとももを押し付ける。

     わたくしの身体がまだ硬かった頃、彼はそうしてわたくしの膝を開かせていった。同じようにしていけないという法はない。

     耳をかじりつけ、ていねいに舐め取っていく。

    「ん……」

     かすかな吐息が漏れ出づる。最近分かってきたことだけれども、彼が息を乱すのは、とても興奮しているときだけだ。厳しい訓練の賜物なのか、肉体的な疲労よりも、欲情したときのほうが心臓が早まるようだった。

     彼のぼんやりと焦点の合わない目がうっすらと開き、ぞんざいにこちらを見やった。

    「どうしたの?」
    「お情けをいただきとうございます」
    「まだ足りない?」
    「まだ、とても」

     首にくちづけ、肩の大きな筋肉にそって唇を這わせていく。びく、とかすかに反応があった。これをされると気持ちがいいのは、彼も同じらしかった。
     そう思うとなんだか楽しい。

    「待って、姫さま」
    「いやです、待ちません」

     乳首を食むと、わたくしの足に押しつぶされた肉の柄が急に育った。息をつめるかすかな呼吸音。血の流れがすうっと集まった先端を手でつかみながら、舌をちろちろと舐め動かして、胸も同時に刺激していく。

     両胸をたっぷりとかわいがってさしあげる頃には、もはや隠しようもないほどぎちぎちになっていた。やさしくこすりあげながら、できるだけ甘く聞こえるよう、ねだり声を重ねていった。

    「そろそろ、わたくしのはしたない口にもお慈悲を。……お手をどうぞ、わたくしにくださりませ。こんなに求めているのですよ……ほら。……くんんっ!」

    「こ、困るんだけど」

     彼の手をわたくしのおなかに押し付けてやると、彼は珍しく動じた声を出した。

    「まあ、おかわいらしい。ね、わたくし精一杯ご奉仕いたします。ですから、どうか。……ね?」

     刺激を与えすぎ、やわらかさが戻ってきた胸から唇を離し、おへそまで舌を下らせる。両脇をくすぐりながら、太ももの内側の肉を甘噛みし、ひざの皿を余さず舐めとった。すねの筋を唇で挟み、ふくらはぎに鼻先が触れるか触れないかの位置で辿って、足の指を口に含んだ。

    「あっ……くっ……」
     彼が見たこともないほど大きく身体をひきつらせ、
    「姫さま、ストップ、ストップ!」

     わたくしから強引に自分の足をもぎ離した。

    「参ったな。降参」




    2012.6.03 不倫エロ話。30~50kbぐらいでケリをつけたい。

    2012.6.05 2回戦目加筆。定石なら次は口かな?

    2012.6.07 3回戦目始め。姫さまといえばおっぱい。

    2012.6.08 加筆。

    2012.6.11 3回戦終わりまで。こぎれいにまとめようと思ってプロット用意してましたが、痛いしスイーツだしなのでやめました! とくにやまなしおちなしいみなしで続くかぎり続けて投げっぱなしで終わる予定。とりま次は姫さまのご奉仕回。

    2012.6.14 4回戦始め。姫さまが楽しそうな感じを出したい。

    2012.6.15 加筆。
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    Date:2012/06/15
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    Thema:同人活動
    Janre:アニメ・コミック

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